鎌田&長谷部のフランクフルト、ドイツ中が心を掴まれた歴史的快挙 指揮官が名指しで感謝する“救世主”「ファンタスティック」

GKトラップを世間が絶賛 「一皮むけた」

 元フランクフルトGKウリ・シュタインは「マヌエル・ノイアーよりも上だ!」と太鼓判を押す。昨年秋にバイエルンに勝利した試合で「一皮むけた」とシュタインは評価する。本人も自身の取り組みをいくつか変えたと明かしている。それまではチームの状況や順位についてなどを含めて、多くのことを考えすぎていた。自分を見つめ、自分のプレーにまずは集中しようと切り替えたという。やるべきことが整理されたことで、大事な場面で研ぎ澄まされたプレーが繰り出される。

「今は非常にいい状態だと思うよ。僕の仕事はチームを助けることだから。監督はシーズン初めのころに、5月18日のことを口にしたことがあった。今その夢がかなったよ。まだタイトルまであと1試合ある。今僕らがいるところにたどり着くまでに、多くのものを投資してきた。僕らの最大の目標はファンと一緒に喜び合えることだった。グラスゴーはウェストハムと同じようにフィジカル的にぶつかってくると思う。でも僕らは自分たちのことに集中して試合に臨む。僕の選手キャリアの中で最高の時だ。準決勝で勝利して決勝に進出するのはとても特別なことだよ」

 フランクフルトは無敗で決勝まで上り詰めた。準決勝を制したこの夜を忘れるものはだれもいないだろう。クラブと町の雰囲気があったからこそ、選手は最高レベルのプレーを引き出すことができた。そして最後尾には鉄壁なトラップがいる。決勝に向けて恐れるものは何もない。

(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)



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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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