鎌田&長谷部のフランクフルト、ドイツ中が心を掴まれた歴史的快挙 指揮官が名指しで感謝する“救世主”「ファンタスティック」

一体感が生まれたフランクフルトの勝利後の様子【写真:Getty Images】
一体感が生まれたフランクフルトの勝利後の様子【写真:Getty Images】

【ドイツ発コラム】フランクフルトはEL決勝進出が決定

 鎌田大地と長谷部誠がプレーするフランクフルトが歴史的な快挙を成し遂げた。UEFAヨーロッパリーグ(EL)準決勝でプレミアリーグのウェストハムを退け、ついに決勝への切符を手にしたのだ。

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 今季ヨーロッパカップ戦でのドイツ勢は失望ばかり。UEFAチャンピオンズリーグ(CL)ではヴォルフスブルクがグループリーグ最下位、ドルトムントは3位でプレーオフではレンジャースに大敗。ライプツィヒは準決勝まで駒を進めたが、ドルトムント同様レンジャースの前に後塵を拝することに。王者バイエルンも用意周到なビジャレアルの前に散った。

 そんなドイツサッカー界にとってフランクフルトは最後の希望だ。世間からの注目は非常に大きいし、多くの人が魅了されている。

 SNSでは元ドイツ代表MFバスティアン・シュバインシュタイガーが「もう見ているのがとにかく楽しいよ。そしてファンからのワールドクラスのサポート」と称賛すれば、マンチェスターシティMFイルカイ・ギュンドアンは「これほどまでにインターナショナルな舞台でフランクフルトほど楽しませてくれるドイツクラブはほとんどない」と絶賛。ドルトムントの元ドイツ代表DFマッツ・フンメルスも「ワオ、アイントラハト。インターナショナルにこれほどまで興奮させられるなんて」と賛辞を惜しまない。

 ウェストハムとの一戦ではこれまでにフランクフルトで指揮を執ってきた歴代の監督も世紀の一戦に集まってきた。フリドヘルム・フンケル、アルミン・フェー、ニコ・コバチ、ロベルト・コバチ、さらにはアディ・ヒュッターも応援に駆け付ける。あまり幸運とは言えない別れ方をしたヒュッターではあったが、代表取締役のアクセル・ヘルマンはそれについて、「アディ・ヒュッター、そして(アシスタントコーチの)クリスティアン・パイティンガーとアルミン・ロイタースハーンの来訪をとてもうれしく思う。過去におけるいくつかのことに区切りをつけ、また整えるうえでのいい機会だ」と懐の深さを見せていたのが印象的だ。

「フランクフルトの驚異的なパワーはクラブ、そして町をめぐる熱狂からももたらされている。フランクフルトの人たちはアイントラハトとともに生きている。チームのスピリットは初日から感じていた。プレーしていない選手でもいつもチームのために尽くしてくれている。普通のことではない。非常に素晴らしい」

 オリバー・グラスナー監督はそう口にしていた。ヨーロッパの大会を駆け上がる。みんなの力を結集して。1つ1つの力が重なり合って、1人1人では成しえなかった力となっていく。

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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで、さまざまなレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス取得(UEFA-Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、16-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。『ドイツ流タテの突破力』(池田書店)監修、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)執筆。最近はオフシーズンを利用して、日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで精力的に活動している。

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