東大サッカー部と欧州プロクラブの提携 弁護士志望の3年生新米コーチはオーストリア短期留学で何を学んだのか

インスブルックでは「実際に基準となるものを見れたのは大きかった」と練習段階で意識の違いを実感【写真:岡本康太郎】
インスブルックでは「実際に基準となるものを見れたのは大きかった」と練習段階で意識の違いを実感【写真:岡本康太郎】

インスブルックで「トランジションの重要性に気付かされた」

 マネジメントだけでなく、サッカーの面においても受けた刺激は大きかった。東大ア式蹴球部は伝統的に最終ラインからボールをしっかりとつないでいくポゼッションサッカーを志向する一方、モラス氏が率いるインスブルックのU-23チームはRBライプツィヒ(ドイツ)やレッドブル・ザルツブルク(オーストリア)などレッドブル・グループの代名詞とも言える“縦に速い”スタイル。岡本はそのスタイルの違い以上に、練習段階での意識の違いを感じ取ったという。

「ア式ではポゼッションの練習でもボールタッチに制限を設けたり、グリッドを必要以上に狭くし過ぎることはしません。でも、モラスさんはあまり普通のロンドはやらないですし、ひたすらに狭いエリアでインテンシティーを高くする練習が多かったのが印象的です。日本だとあまりないかもしれないですが、ほぼすべての練習にトランジションが入っている。どちらが正解ということではなく、それぞれの良さがあると思うんですけど、いろいろな考え方があることを知れたことは大きかったと思います。

 モラスさんに、インスブルックの選手たちは自分たちの試合映像を見返すのかを聞いたら、それはやはり人それぞれだと言っていました。向こうの選手たちは細かい立ち位置だったり戦術の細部にまでこだわっている印象はあまりなかったのですが、特に守備面におけるボールに対する意識や、奪いにいく守備の部分はとてもしっかりしていると感じました」

 インスブルックで「トランジションの重要性に気付かされた」という岡本は「実際に基準となるものを見れたのは大きかったです。実際にそのサッカーを実践するにあたってどういう練習が必要なのか、どのような原則があるのか、どういった声がけをするのか、そういった部分で頭がすごく整理されました」と現地に行ったからこそ得られたものは大きいと強調する。帰国後、いいトランジションの場面を集めた動画集をア式蹴球部の選手に見せるなどインスブルックでの成果を早速“布教”しているという。

「ちょっと洗脳されちゃいましたね(笑)。でも、陵平さんも切り替えの部分は本当に大事にしていますし、欧州のトップレベルを見ていてもスタイルとして確実に両立しなければならないものではあるはずなので、上手い形でミックスしていければいいなと思います」

 ア式蹴球部は昨シーズン、東京都大学サッカーリーグ1部で最下位に終わり、今季から2部リーグで1部再昇格を目指して戦っている。インスブルックのエッセンスが加わった東大生軍団はどのような変化を遂げていくのか。今後に注目だ。

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