【J1全クラブ最新布陣】新生・鹿島が“ハイレベルな前線”構築 湘南の中盤は上位クラスに匹敵か

チャナティップが去った札幌は、金子ら複数主力の残留が大きなポイント

■北海道コンサドーレ札幌/昨季成績
J1リーグ:10位(勝ち点51/14勝9分15敗)
ルヴァン杯:ベスト8
天皇杯:3回戦敗退

【今オフ補強動向】
 5年目となる“ミシャ”ことミハイロ・ペトロヴィッチ監督の下で、共通理解を高めながらチームを成長させるための継続路線は変わらない。MF金子拓郎などJ1のライバルクラブも欲しがりそうな選手たちをしっかりと契約更新させたのも大きい。

 一方で、重鎮FWジェイが退団、MFチャナティップ(→川崎フロンターレ)が多額の移籍金を残して去ったが、3年越しのラブコールが実ったFW興梠慎三(←浦和レッズ)、抜群のテクニックを誇るMFガブリエル・シャビエル (←名古屋グランパス)を獲得して穴は埋まっている。

 浦和で出番を失っていた興梠は、恩師の下で新天地のエースとして完全復活なるか。さらにジェフユナイテッド千葉からFW檀崎竜孔、モンテディオ山形からMF藤村怜が復帰しており、前線と中盤は厚くなった。大卒ルーキーのMF田中宏武(←立正大)とMF井川空(←筑波大)も即戦力として期待される。

 田中は左のウイングバック、藤村はボランチが主戦場になるか。もともと若く活きのいいタレントが揃うだけに、彼らがポジション争いに割って入れるかが注目される。同時に、従来の主力選手たちにとっても競争が良い刺激になると、相乗効果で成長していきそうだ。

■主な獲得選手
【Pos./選手名/前所属】
FW ガブリエル・シャビエル 名古屋グランパス
FW 興梠慎三 浦和レッズ※レンタル
FW 藤村 怜 モンテディオ山形
MF 檀崎竜孔 ジェフユナイテッド千葉
DF 西 大伍 浦和レッズ

■主な放出選手
【Pos./選手名/移籍先】
FW ジェイ 未定
FW ガブリエル 未定
MF チャナティップ 川崎フロンターレ
MF 中野嘉大 サガン鳥栖
MF 白井康介 京都サンガF.C.

【22年シーズン陣容の注目ポイント】
 チャナティップは去ったものの金子、DF田中駿汰、MF高嶺朋樹など、年齢の若い主力選手が残り、実質的にチーム力はアップしているはず。J1の中でも若いチームで、“オーバー30”は新戦力の興梠に大ベテランのMF小野伸二、浦和から新加入のDF西大伍、キャプテンのDF宮澤裕樹、GK菅野孝憲、GK大谷幸輝の6人。DF福森晃斗とMF駒井善成が29歳、MF荒野拓馬とMFガブリエル・シャビエル が28歳で続くが、ベースになるのは25歳以下の選手たちだ。

 それだけにシーズンの中でチームだけでなく、個人としても成長する期待は高い。3-4-2-1をベースにハイプレスと連動性の高い攻撃はJ1でも目を引く。リーグ戦で王者の川崎を破った数少ないチームの1つだが、良い時と悪い時の波をもう少し無くして、終盤のクロージングを含めた90分の戦い方が成熟してこないと、“上位食い”はできても、昨年を大きく上回る躍進は難しい。

 また、ミシャ監督のブレーン的な存在だった四方田修平氏が横浜FCの監督に就任した影響がどうなるかは未知数だ。いずれにせよ、リーグ優勝となると、相当に理想的な要素が重ならないと難しいが、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)の出場圏内は十分に狙えそう。シーズンの成長力がそのまま結果につながる国内カップ戦(ルヴァン杯、天皇杯)タイトルも射程圏だ。

河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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