【J1全クラブ最新布陣】新生・鹿島が“ハイレベルな前線”構築 湘南の中盤は上位クラスに匹敵か
【識者コラム|Part4】鹿島、札幌、湘南の新シーズン補強動向&最新予想布陣を紹介
J1の各クラブは、2022年シーズンに向けて新たな陣容でスタートを切る。このオフを経て、昨季からどう生まれ変わったのか。補強動向を踏まえながら、Part4では鹿島アントラーズ、北海道コンサドーレ札幌、湘南ベルマーレの新シーズン予想陣容を紹介する。
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■鹿島アントラーズ/昨季成績
J1リーグ:4位(勝ち点69/21勝6分11敗)
ルヴァン杯:ベスト8
天皇杯:ベスト8
【今オフ補強動向】
IN&OUTの比較だけで言えば、“プラスマイナスゼロ”か。DF犬飼智也(→浦和レッズ)とDF町田浩樹(→ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ)の主力2枚がいなくなったセンターバックには、対人能力に強いDFキム・ミンテ(←北海道コンサドーレ札幌)が入ったが、バックアップも含めてやや心許なさはある。
ただ、DF永戸勝也が移籍した左サイドバックはDF小田逸稀(←ジェフユナイテッド千葉)が復帰し、アンダーカテゴリーの代表でもあるDF溝口修平が昇格。DF安西幸輝を筆頭に楽しみなポジションだ。
MFレオ・シルバ(→名古屋グランパス)、MF遠藤康(→ベガルタ仙台)というタイトルの味を知る経験豊富な選手たちが去った中盤には、攻撃センスに優れるMF樋口雄太(←サガン鳥栖)と展開力と戦術眼が売りのMF中村亮太朗(←ヴァンフォーレ甲府)が入り、MF名古新太郎(←湘南ベルマーレ)が経験値を高めて復帰。サイドアタッカー色の強いMF仲間隼人(←柏レイソル)も加わり、新体制で競争が活性化しそうな陣容となっている。
注目のトピックはFW鈴木優磨(←シント=トロイデン)の復帰だろう。完全移籍で出た選手のこのタイミングでの復帰には鹿島サポーターの間でもSNS上で様々な声が見られたが、本人も「鹿島でタイトルを獲るために帰ってきた」と語るように、戦力として考えたら心強いのは間違いない。精神的な影響力も大きく、MF三竿健斗も良質なストライカーが加わった以上の価値を語っていた。
■主な獲得選手
【Pos./選手名/前所属】
FW 鈴木優磨 シント=トロイデン(ベルギー)
MF 中村亮太朗 ヴァンフォーレ甲府
MF 樋口雄太 サガン鳥栖
MF 仲間隼斗 柏レイソル
DF キム・ミンテ 名古屋グランパス
■主な放出選手
【Pos./選手名/移籍先】
FW 垣田裕暉 サガン鳥栖※レンタル
MF 白崎凌兵 清水エスパルス
MF 遠藤 康 ベガルタ仙台
MF レオ・シルバ 名古屋グランパス
DF 犬飼智也 浦和レッズ
【22年シーズン陣容の注目ポイント】
レネ・ヴァイラー新監督の下で鹿島は新しい局面を迎える。新体制であろうとタイトル獲得が求められるのは変わらない。ただし、中身の改革は必要で、その意味で打ってつけの指揮官を迎えられた。
鹿島の伝統にも通じる堅守速攻を志向するなかで、守備から攻撃に移った時のポジショニングなど、位置的優位の取り合いの様相が強まるJリーグにマッチした転換だろう。コロナ禍で来日が遅れており。プレシーズンは鹿島OBの岩政大樹コーチが実質的な監督代行となっているが、新監督の下で、三竿や新キャプテンに就任したMF土居聖真など、実績組を含めて各ポジションで競争が高まるはずだ。
そのなかでも、ホットゾーンは鈴木が復帰した前線。2年連続の二桁得点を記録し、日本代表にも招集されたFW上田綺世、完全復活が期待されるFWエヴェラウド、成長株のFW染野唯月といったハイレベルな前線で、誰が真のエースになって行くのか。競争がチーム力を高めてきた鹿島だけに、良い意味でホットゾーンになりそうだ。
ただ、これまでヴァイラー監督が率いてきたチームを見る限り、4-2-3-1システムが軸になる可能性もある。新キャプテンの土居が生かされそうなシステムで、MF荒木遼太郎も左サイドからゴールに関わりやすいだろう。ボランチも三竿とMFディエゴ・ピトゥカがファーストセットになるのか、名古や中村が食い込むのか。いずれにせよ消耗の激しいポジションなので、競争しながら選手層を高めていきたいところだ。
河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。