【月間表彰】「足を止めないことは大事」 栗原勇蔵×中谷進之介対談…DFが得点することの意味

過去にオファー? 中谷選手と栗原氏が最終ラインでコンビを組んでいたかも

――今シーズンの名古屋はJリーグで19試合無失点記録という新記録を作るなど、堅守のイメージが強くなりました。

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栗原 (マッシモ・)フィッカデンティ監督はイタリア人だし、守備の意識がすごく高い人なのかなって見ていて感じるんだけど、練習ではどうなの? やっぱり厳しいというか、守備においては細かく指示してくる感じですか?

中谷 練習ではそこまで細かくは……。ただ戦術練習って言って、人を配置して監督が「こうしたらこう動け」と説明する練習があるんですが、そこではすごく細かく伝えられますし、そういう練習は多いですね。その戦術練習でめちゃくちゃ落とし込まれているので、試合ではみんな頑張って走って守備していますね。

栗原 センターバックとか、GKとか、守備陣の頑張りはもちろんだけど、今のサッカーはそれだけじゃ守れないので、前の選手たちの守備の意識もすごく大事。そういう意味ではここ数年、名古屋の守備意識がすごく高くなっているなあと感じています。

中谷 そこはもう間違いなく、マッシモ監督が就任してからすごく変わった部分だと思います。前線の選手もしっかりと守備をするので。本当に1-0で勝っている後半最後のほうでも、たとえ6バックになっても構わないから守り切るというメンタルもあるので、前線の選手も含めて全員で守っている感覚がありますね。

栗原 それこそF・マリノス戦を見ていても思ったけど、やっぱり名古屋は強いよ。前にも後ろにもタレントがいるのに、チーム全体の守備意識も強い。実はF・マリノスが2003年、04年に連覇した時のチームに似ていると感じていて。あの時もタレントがたくさんいたけど、岡田(武史)さんが手堅いサッカーをしていたから優勝できたと思うし、個人的にも名古屋の守備を重視したサッカーが好きなんです。自分自身も現役時代はそのサッカーをずっとやってきていたというのもあって、名古屋の試合は観たいと思うんですよね。

中谷 ファンの方からすれば、堅い試合になることが多いですし、もしかしたら見ていて楽しいサッカーじゃないかもしれないですけど、ここまで勝ち続けているので、そこには自信を持っていますね。

栗原 プロの世界なので結果がすべてだという部分もある。勝つことで自信がつくし、それが確信に変わっていくこともあります。だから今、その段階に来てるんじゃないかなと思います。

中谷 そうですね。チームが勝つことで、それが自分自身の評価にもつながるし。チームが勝っているからこそ今年は日本代表にも選ばれたんじゃないかなとも思っているんです。そういった意味でも、勝者のメンタリティは大事なのかなとも思います。

栗原 間違いないです。今後も頑張ってほしいです。そしてACLも。Jリーグ組で残っているのは名古屋だけなので、ぜひ優勝してもらいたいですね。

――最後になりますが、中谷選手から栗原さんに聞きたいことはありますか?

中谷 キャリアの築き方について知りたいです。現役時代、ずっとF・マリノスだったじゃないですか? 途中でチームを変えたいと思ったことはなかったんですか?

栗原 正直あんまりなかったかな。移籍も願望もなかったし。時代背景もあったかもしれないけど……。今だからこそ言えるけど、ネルシーニョさんが最初に監督をやっていたときに柏からオファーをもらったことがあって。お台場でネルシーニョさんと(吉田)達磨さんと会って話をした、というところまで話が進んだことはあったんです。

中谷 そうだったんですね!

栗原 ネルシーニョさんの監督としての手腕で自分ももうワンランク、レベルアップできるかなと考えたこともあったんだけど、地元・横浜から離れることが考えられなかったので実現しなかったんです。

中谷 もしそれが実現していたら、僕の1年目と被っていましたね。

栗原 あ、そうなんだ。じゃあチームメートだったかもしれないんだ(笑)。

中谷 はい。でもそうしたら僕が試合に出られなかったかもしれないので、むしろ良かったです。

栗原 いやいや、一緒に組んでいたかもしれないから(笑)。

[プロフィール]
栗原勇蔵(くりはら・ゆうぞう)/1983年9月18日生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。

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