“バブル崩壊”バルサ、負債額1755億円の衝撃 苦難直面も…“ソシオ制”維持の姿勢に期待

例えばシャビのような人材に長期的な展望で再建を託すのはどうだろうか

 熱狂的にサッカーを愛する英国人だが、その一方で近年のサッカー界にまつわる金満を嫌悪するファンは少なくない。世界的に見ても、経済は停滞。しかも今回のコロナ禍の悪影響はこれから深刻化しそうであり、一般はさらなる経済的な苦境に立たされることになりそうだ。携帯以外に物は売れず、人類はサイバー世界に閉じこもろうとしているような現実逃避の様相も見せる一方、英国ではスーパーマーケットの賞味期限が切れた食物をもらいに、フードバンクに行列を作る人たちが増え、街にはホームレスも明らかに増えている。

 そんななか、サッカー界だけが異次元、異空間にいるかのように、数億、数百億、さらには数千億という金額で語られる。

 しかしそんなサッカー界の金満を支えるのは文字通り乏しい懐を叩いて、まるでお布施のように高騰するばかりのチケットやレプリカ、そしてスカイやBTのテレビ受信料を支払い続けるファンである。

 こうしたなか、金満の最中、バブルが弾けて倒れかけたバルセロナが緊縮財政に耐え、伝統と歴史とその誇りでユースを育て、そして近い将来、あのメッシが燦然と輝いた黄金期を再現してほしいと思うのは筆者だけであろうか。

 例えばシャビ、もしくはイニエスタのような人材にチームを任せて、5年以上の長期的な展望をもってクラブを再建させるというのはどうだろう。そしてそんな忍従の日に耐えて、再びバルセロナが輝く時代がやってくれば、それはコロナ禍や不況で苦しむ世界の希望にもなるはずだ。

 きっちりと責任を追及した後は、ライバルのレアルを乱暴に模写し、不正も行ったと見られる前任者の名前はもう一切語らない。ラポルタ会長にはそんな決意でバルセロナの再生に尽力を注ぎ、ファンはそんなクラブを「必ず復活する」という信念をもって支えてほしい。

 誰が何を言おうと、バルセロナは欧州サッカーに不可欠な存在なのである。
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(森 昌利 / Masatoshi Mori)



森 昌利

もり・まさとし/1962年生まれ、福岡県出身。84年からフリーランスのライターとして活動し93年に渡英。当地で英国人女性と結婚後、定住した。ロンドン市内の出版社勤務を経て、98年から再びフリーランスに。01年、FW西澤明訓のボルトン加入をきっかけに報知新聞の英国通信員となり、プレミアリーグの取材を本格的に開始。英国人の視点を意識しながら、“サッカーの母国”イングランドの現状や魅力を日本に伝えている。

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