「J2→J1」の“個人昇格”で大ブレイク! 夏のステップアップ移籍で成功した歴代3人

塩谷は加入翌年に“攻撃的センターバック”として大ブレイク

■小野瀬康介(2018年/レノファ山口→ガンバ大阪)

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 岐阜から神戸に移籍した古橋、東京ヴェルディか横浜F・マリノスに移籍したDF畠中槙之輔など、J2からJ1移籍の成功例が多かった2018年だが、MF小野瀬康介のインパクトもそれらに勝るとも劣らないものだった。2012年にJ2時代の横浜FCにアカデミーから昇格し、5シーズン在籍。2017年にレノファ山口へ移籍すると、翌年就任した霜田正浩監督の下で右サイドから鋭いカットインを見せ、前半戦だけで10得点を記録するなどチームの躍進を牽引していた。

 その活躍に注目したJ1のガンバ大阪に引き抜かれると、得点こそ山口の時よりペースダウンしたものの、攻守両面の奮闘で、宮本恒靖監督(当時)が途中就任した後半戦の巻き返しを力強く支えた。19年には7得点4アシスト。半分以上の試合でウイングバックを担った選手としては特筆に値する数字だ。

 今年は監督交代などチームが躓くなかで小野瀬も怪我が重なるなど乗り切れないシーズンになっているが、苦しいチーム事情のなかで左ウイングバックも担うなど奮闘するサイドの俊英が、巻き返しのキーマンの1人であることは間違いない。

■塩谷司(2012年/水戸ホーリーホック→サンフレッチェ広島)

 J2の水戸からJ1のサンフレッチェ広島に移籍し、3度のリーグ優勝を経験、日本代表にも選ばれるなど一時代を築いた。そこからUAEの名門アル・アインに移籍して、4シーズン主力としてプレーするなど、異色のキャリアを歩み続けている。

 水戸の活躍で多くのオファーがあったなかから広島を選択した塩谷。夏にJ2からJ1に移籍した成功例のなかで少し違うのが、同年の残りシーズンでは多くの出場機会を与えられなかったこと。しかし、DF森脇良太のサブとしてリーグ優勝を支えた。転機は森脇の浦和移籍で、3バックの一角に定着すると対人能力の高さと怒涛のオーバーラップで“攻撃的なセンターバック”のイメージを定着させた。

 日本代表では右サイドバックとセンターバックの両ポジションの候補として期待された。能力を評価していたハビエル・アギーレ監督の契約解除などもあり、しばらくA代表から遠ざかるなかで、オーバーエイジとして選ばれた2016年のリオデジャネイロ五輪では直前招集による連係不足もあり、上手く若いチームを助けることができなかった。

 しかし、アル・アインに渡ってから同国で迎えた2019年のアジアカップで、MF守田英正の負傷に伴い、広島時代の恩師である森保一監督に3年ぶりに招集された。チームはカタールに敗れて優勝を逃したが、もともとの本職ではなかったボランチで奮闘。苦しい戦いが続いた日本の決勝進出は塩谷の奮闘抜きに語れない。

(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)



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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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