五輪サッカー男子「歴代優勝国」が興味深い W杯とは異なる“勢力図”と時代背景

リオ五輪大会で優勝を果たしたブラジル代表【写真:Getty Images】
リオ五輪大会で優勝を果たしたブラジル代表【写真:Getty Images】

【識者コラム】W杯とは異なる歴史を歩んだ国際大会、かつては東側諸国が金メダルを独占

 オリンピックでサッカーが公式にスタートしたのは、1900年のパリ五輪だった。FIFAがワールドカップ(W杯)を開催するのは1930年なので、それまでは世界一を決める大会は五輪だったわけだ。

 最初の金メダルは英国。1912年のストックホルム五輪までの4大会で3回優勝している。1924、28年と連覇したウルグアイは当時の最強チームで、1930年には第1回W杯開催国となり優勝もしている。

 W杯が始まると、サッカーの世界一はW杯と認識されるようになり、同時に強豪国がプロ化していったのでアマチュアにしか参加資格がなかった五輪は、世界一を決める大会ではなくなった。第二次世界大戦後は東側諸国の“ステート・アマ”が覇権を握り続け、1952年ヘルシンキ五輪のハンガリー優勝から1980年のチェコスロバキア優勝まで金メダルを独占した。

 そういう経緯もあって、五輪の勢力図はW杯とは全く違うものになっている。

 五輪で最高成績はハンガリーである。金メダル3、銀1、銅1と5つのメダルを獲得している。ヘルシンキ五輪に優勝したチームは有名な「マジック・マジャール」で、1954年W杯は準優勝だったが当時の最強チームであり、史上最強とも言われている。

 2位は初期に3つの金メダルを勝ち取った英国。この頃は英国といっても、イングランド協会(FA)が選手を選抜していて実体はイングランド代表だった。
 3位はアルゼンチン。2つの金メダルは近年の2004、2008年だ。すでにプロ解禁になっていて、リオネル・メッシやフアン・ロマン・リケルメがプレーしていた。

 4位がすでに国家として消滅しているソビエト連邦。東側の盟主だったソ連は多くの競技で強く、アメリカと覇を競っていた。W杯の成績は振るわなかったが、欧州選手権でも優勝していて強豪国の1つではあった。

 戦績トップ10には東側の国が5つ入っている。ハンガリー、ソ連、ユーゴスラビア、ポーランド、東ドイツだ。このうちソ連、ユーゴスラビア、東ドイツの3カ国は現在もう存在していない。ソ連とユーゴスラビアは連邦解体、東ドイツは西ドイツと統一されている。

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西部謙司

1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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