マンU「年俸ランキング」を英紙公開 1位は30億円…「犯罪的に安い」選手は?
【英国発ニュースの“深層”】新加入サンチョの年俸28億円を受けて英紙が特集
マンチェスター・ユナイテッドが2年越しで、ようやくイングランド代表MFジェイドン・サンチョを獲得した。昨年はドルトムントから1億ポンド(約153億5000万円)の移籍金を要求されたことで、ユナイテッドが交渉を打ち切った形になっていた。しかし欧州サッカー界にも深刻な経済的打撃を与えた新型コロナウイルスの影響で、今夏はドイツの名門クラブが背に腹はかえられず、しかも7300万ポンド(約112億円)という金額への値下げに応じて、サンチョを売却した。言わば、この点では獲得側のユナイテッド勝利に終わった移籍となった。
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6月30日、正式に加入が発表されて、7月2日付の英大衆紙「ザ・サン」が21歳新加入のサンチョの年俸額を報道。クラブ第2位になると伝えた。
その金額がなんと週給35万ポンド。英国では今も、サッカーのプロ創世記に試合が行われるごとに給料が支払われていた伝統を守り、選手の給料を「週給」で表す。これを日本円にするとびっくり。なんと5370万円となるのだ。年俸表示すると1820万ポンド。しつこいようだが、日本円にするとこれが約28億円なり。いやはやなんとも、これは本当に夢がある数字だ。
しかし、だ。この「ザ・サン」紙が掲載したユナイテッド1軍25選手の年俸リストを見て、サンチョの給料に感心すると同時に、ある種の不公平感も抱いてしまったのである。
サンチョが第2位となったレッドデビルズの給料リストの第1位は、スペイン代表GKダビド・デ・ヘアだ。その年俸1950万ポンド(約30億円)である。ちなみにこれはプレミアリーグの最高給でもある。これ、控えのディーン・ヘンダーソンの台頭もあり、過去10年にわたりがっちりと守ってきた不動のレギュラーGKの座が脅かされた昨季の印象からすると、非常に高い。ただし、デ・ヘアがこの年俸で契約したのは、レアル・マドリードから強烈な勧誘がかかっていた直後で、当時は世界一との評価だったこともある。
GKがクラブ一の高給取りというケースは珍しいが、これも2009年にクリスティアーノ・ロナウドを引き抜かれて、レアルのユースクラブ扱いされた過去の再現はごめんだという思いの表れなのか。ユナイテッドがクラブの面目をかけて、デ・ヘアに大奮発した結果がこの金額となった。
まあ、これはやはり、こうした運、不運もプロの実力のうちなのだろうと納得もできる。GKがこの年俸オファーを見せられれば、デ・ヘアでなくともユナイテッドに生涯の忠誠を誓ったはずだ。
森 昌利
もり・まさとし/1962年生まれ、福岡県出身。84年からフリーランスのライターとして活動し93年に渡英。当地で英国人女性と結婚後、定住した。ロンドン市内の出版社勤務を経て、98年から再びフリーランスに。01年、FW西澤明訓のボルトン加入をきっかけに報知新聞の英国通信員となり、プレミアリーグの取材を本格的に開始。英国人の視点を意識しながら、“サッカーの母国”イングランドの現状や魅力を日本に伝えている。