昏倒エリクセンを救護…デンマーク主将、精神的ショックで途中交代 「不可能だった」

デンマーク代表キャプテンのDFシモン・ケアー【写真:ロイター】
デンマーク代表キャプテンのDFシモン・ケアー【写真:ロイター】

後半18分にピッチを去ったケアーの交代理由を監督が明言「大きな影響を受けた」

 デンマーク代表を率いるカスパー・ヒュルマンド監督は欧州選手権(EURO)初戦のフィンランド戦(0-1)でMFクリスティアン・エリクセン(インテル)が試合中に倒れるアクシデントを乗り越え、試合再開を受け入れた選手たちに「これ以上ないほど誇りに思う」と賛辞を送った。英紙「ガーディアン」がコメントを伝えている。

 ホームスタジアムのパルケン(コペンハーゲン)でEURO初出場のフィンランドと激突したデンマークを思いがけないアクシデントが襲ったのは前半40分過ぎだった。左サイドでスローインを受けようとしたエリクセンが何の前触れもなくピッチに倒れ、そのまま意識を失った。選手や主審が慌ててメディカルスタッフを呼び込み、そのままピッチ上で心肺蘇生が行われるなどスタジアム騒然とした。

 エリクセンは病院へ救急搬送され、試合は中断。エリクセンが意識を取り戻し、容体が安定したとの情報が入ると、中断からおよそ1時間50分後に試合は再開された。

 デンマークは0-1で試合に敗れたが、チームを率いるヒュルマンド監督は大きなショックを抱えた中で試合再開を受け入れた選手たちを称賛している。

「人生で最も大切なことはなにか、それは価値のある人間関係を築くことだと気づかされた。我々の選手たちはどれだけ称えても称えきれない。私の大切な友人(エリクセン)が苦しんでいる時にお互いを気遣い合える彼らのことをこれ以上ないほど誇りに思う」

 試合の再開には2つの選択肢があったという。その日の内に再開するか、翌日の午後2時(現地時間)から再開するかのどちらかで、ヒュルマンド監督によれば、デンマークの選手たちには「明日またバスに乗ってスタジアムに来ることは想像できなかった」という。「涙を堪えるのに必死で、感情的に終わってしまった選手もいた。トラウマになるような経験で、私は何があってもOKだと伝えた」と選手の中にはプレー続行が困難な状況だったことも明かしている。

 精神的ショックを最も強く引きずっていた選手の1人がキャプテンのDFシモン・ケアー(ミラン)だ。倒れたエリクセンの元へ真っ先に駆け寄って気道確保などの救急処置を行なったケアーだが、再開後の後半18分に途中交代。ヒュルマンド監督によれば「シモンはとても大きな影響を受けた。彼がプレーを続けられるかどうかは疑わしく、試してみたがやはり不可能だった」とケアーがプレーできる精神状態ではなかったと交代の理由を明かした。

(FOOTBALL ZONE編集部)

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