「あくまでも自分は脇役」 “雑草系”実況アナ、根底にあるサッカーへの深い愛情

サッカー中継の実況でお馴染みのフリーアナウンサー桑原学氏【写真:石川 遼】
サッカー中継の実況でお馴染みのフリーアナウンサー桑原学氏【写真:石川 遼】

【桑原学氏インタビュー|第1回】目標は日本サッカー界への貢献「“少しは役に立てているかな”という感覚が初めて出てきました」

 サッカー中継の実況やDAZN『Jリーグ ジャッジリプレイ』のMCとしてお馴染みのフリーアナウンサー、桑原学さん。冷静な語り口の一方で、少年時代からプレーしてきたサッカーに対する思いは人一倍熱い。実況に臨むうえで、チームや選手のスタイルを把握するための準備には時間を惜しまない。サッカーに真摯に向き合うその姿勢に、実況者としての矜持を感じた。(取材・文=石川 遼)

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――スポーツの実況を務めるアナウンサーというと、どこかの局アナを経験しているイメージがありましたが、桑原さんは現在までずっとフリーで続けています。

「そうですね。僕らの世界はどこかの地方局出身という経歴の方がほとんどで、以前は僕みたいなタイプはほとんどいなかったと思います。今でも初めての現場に行くと『どこの局出身なんですか?』と聞かれることはありますが、そのたびに『独学です。雑草なんです』と答えています(笑)」

――桑原さんは子どもの頃から無類のサッカー好きということですが、どこかでサッカーの実況者を目指すきっかけがあったのですか?

「僕が子どもの頃はサッカー番組といえば『三菱ダイヤモンド・サッカー(※1)』くらいしかなくて、試合の後半はまた来週という世界でした。民放でたまに代表戦の中継もありましたけど、放送の形としてそのくらいしか見たことがなかった。ですからCS放送でヨーロッパサッカーの中継を初めて見た時は結構な衝撃を受けました。

 そこで初めて実況の世界に興味を持って、『やってみたいな』と思ったんです。現実はもちろん、そんな簡単ではないんですけどね(笑)。それが、この世界を目指してみようと思ったきっかけです。だから本当に実況者としてのベースになるものは何もなかったんですけど、見よう見まねと、自分が良いと思うやり方を貫くことで今のスタイルができてきたのかなと思います。正解はないので難しいですけどね」

――実況者としてサッカーに関わるなかで、目標にされていることはありますか?

「この仕事を通じて『日本のサッカーの発展に少しでも貢献できたら』という想いはあります。というのも僕自身、これまでの人生の中でサッカーから教えてもらったことが、とても多いので、それに恩返しをしたいということと、日本サッカーが強くなってほしいということ、そして子どもたちに、もっとサッカーを楽しんでもらえるような環境ができてほしいという想いもあります。僕の立場でできることは限られていますが、1人でも多くの方に、よりサッカーを楽しんでいただけたらな、と思っています」

――桑原さんの実況者としてのキャリアはすでに15年以上になりますが、目標に向かっている手応えは感じていますか?

「ジャッジリプレイを担当させていただくようになってからは、‟少しは役に立てているのかな”という感覚が初めて出てきました。実況中継自体はもう長くやらせてもらっていますが、それがサッカー界への貢献に繋がっているのか、自分では計れないところがありました。でも『ジャッジリプレイ』は影響力も大きいと思いますし、正しいルールの理解や、審判の方々へのリスペクトを伝えることができます。責任も大きいですし、難しさもありますが、やりがいもありますね」

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