南野が「プレミアA級ゴール」で示した資質 王様待遇で躍動、“無”から生んだ個人技弾

サウサンプトのハーゼンヒュットル監督【写真:AP】
サウサンプトのハーゼンヒュットル監督【写真:AP】

初戦の南野はアタッカーとして最大限の自由が与えられた“王様待遇”だった

 ただし、いきなりの先発には驚いた。確かに送り出したクロップ監督は「タクミが今のコンディションを維持すれば(サウサンプトンの残り)、17試合すべてに出場できる」と発言していた。また受け入れたラルフ・ハーゼンヒュットル監督も「(欲しかった選手で)リバプールに決まった時はがっかりした。素晴らしい選手」と呼応して、出番は必ずあると予感させた。

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 しかし“オーストリアのクロップ”と呼ばれるハーゼンヒュットル監督は、新加入の選手が戦術を十分に理解し、満足な動きができるまで使わないことでも知られる。少しうがった見方をすれば、クロップ監督の発言は希望的観測で、ハーゼンヒュットル監督の発言は社交辞令と受け取ることもできる。

 それがいきなりの先発。もちろん、南野がザルツブルク、そしてリバプールと渡り歩き、ハーゼンヒュットル監督が標榜する攻撃的なプレスサッカーに対応できる下地があったことも大きいだろう。また、前節のマンチェスター・ユナイテッド戦でサウサンプトンが0-9という歴史的な大敗を喫したことも、新メンバーである南野の先発起用を後押ししたのは間違いない。

 しかも南野は、中盤左サイドで起用されながらも味方がボールを持てば中央に寄り、最前線のFWダニー・イングスとFWチェ・アダムスに加わって3トップを形成。もしくは2トップの背後に潜り込み、セカンドストライカーとしてゴールを狙うという、アタッカーとして最大限の自由が与えられた“王様待遇”だったのにはさらに驚かされた。

 無論、こうした動きはハーゼンヒュットル監督の指示によるものだろう。その甲斐あって、デビュー戦から南野が素晴らしいインディビジュアル・ゴールを決めて、オーストリア人指揮官の期待に応えた形になった。

 またこれは余談ではあるが、昨季の南野の取材ノートを調べていたら、こんなコメントがあった。

「彼はもともとザルツブルクのコーチで。監督が元ライプツィヒの、彼はオーストリア人かな。そういうつながりで。そんな感じです」

 これは昨年2月1日にホームで行われたサウサンプトン戦後の談話だが、試合後に相手のスタッフとピッチ上で話をしていたところを見つけた記者が「誰と話していたの?」と尋ねて、引き出した話だった。調べてみると、監督と同じくオーストリア人のリチャード・キッツビヒラー助監督が、ザルツブルクのコーチを務めた前歴があった。こうしたところも、南野のサウサンプトンへのレンタル移籍は“縁がある”と感じる部分だ。

森 昌利

もり・まさとし/1962年生まれ、福岡県出身。84年からフリーランスのライターとして活動し93年に渡英。当地で英国人女性と結婚後、定住した。ロンドン市内の出版社勤務を経て、98年から再びフリーランスに。01年、FW西澤明訓のボルトン加入をきっかけに報知新聞の英国通信員となり、プレミアリーグの取材を本格的に開始。英国人の視点を意識しながら、“サッカーの母国”イングランドの現状や魅力を日本に伝えている。

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