「日本代表監督・森保一」の実像 元教え子が見た指揮官の「ブレない」チーム作り
【インタビューVol.2】広島時代と日本代表で“共闘した”塩谷司が語る森保一の信念
森保一監督率いる日本代表は、3月25日に行われるカタール・ワールドカップ(W杯)アジア2次予選ミャンマー戦(日産スタジアム)で2021年初戦を迎える。新型コロナウイルスの感染拡大により、延期となっていたW杯予選が再開予定。アジアのライバルたちとの熾烈な戦いを勝ち抜くなか、22年11月に開幕する本大会に向けてチームの完成度を高めなければならない。
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2018年7月に発足した森保ジャパンは、約2年半で合計86人を招集。これまで計32試合を行い、21勝5分6敗(2018年:4勝1分、2019年:15勝3分5敗、2020年:2勝1分1敗)、総得点62、総失点26という数字を残している。
チーム立ち上げ当初から4バックをベースとしてきたなかで、3バックのオプション模索、「10番」を背負ってきたMF中島翔哉(ポルト)の招集見送り、期待度の高いMF久保建英(ヘタフェ)の慎重な起用、大黒柱であるFW大迫勇也(ブレーメン)不在時の停滞など、数々の課題に対して森保監督には厳しい目が向けられてきた。本大会まで2年を切ったなかで、サンフレッチェ広島時代に約5年間の師弟関係にあり、2019年のアジアカップでは追加招集を受けて5試合に出場したDF塩谷司(アル・アイン)に、森保監督のチーム作りの“哲学”について訊いた。
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森保監督は2012年、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督(現・北海道コンサドーレ札幌)の後を継ぐ形で広島の指揮官に就任。初年度からJ1リーグ優勝を果たすなど、5年半で3度のタイトルをもたらした。広島時代は3-4-2-1の可変システムを採用していたのに対し、日本代表では4バックをベースとしているが、「アグレッシブに戦う」「最後まで粘り強く」「球際の勝負」といった基本テーマは常に一貫している。塩谷によれば、森保監督は“極めるタイプ”の采配スタイルだという。
「森保さんはこれと決めたことを“極める”。広島時代だとほぼ同じメンバー、ほぼ同じスタイルで戦って、どのチームもリスペクトして対策をとってくるなかで、相手を質で上回っていこう、と。それと当時に、若い選手、例えば試合に絡めない選手とかのケアもしっかりして、引き上げていきます。実際、優勝した2015年とか、当時レギュラーとして出ていたメンバーが一番強かったかと言ったらそうではなく、サブメンバーも充実していた。ちゃんと監督が見ているから、選手はアピールしないといけない。それが良い練習、良い試合につながって、チーム全体が底上げされていく感じです」