「日本代表監督・森保一」の実像 元教え子が見た指揮官の「ブレない」チーム作り

自分たちのスタイルがブレない点と、選手のバランスを保つ絶妙なマネジメントが特長

 国士館大と水戸ホーリーホック時代の恩師である柱谷哲二氏のほか、2017年のアル・アイン移籍後には数々の外国人監督の下でプレーしてきた塩谷。森保監督が他の指導者と違う点に関しては、自分たちのサッカーがはっきりしていることを特徴に挙げる。

「UAEに来てから何度も監督が交代してきました。よく『自分たちのスタイル』と言いますけど、曖昧な部分があると思います。でも、広島時代にそれはなかった。しっかりGKからビルドアップして、ワイド(ウイングバック)が高い位置を取ってしっかりと崩す。ディフェンスの時はブロックを作って守る、と明確だった。森保さんはブレないし、変わらない。日本代表では活動期間が限られるので、3バックをやったりもしていますけど、広島でいつもと違う形でやったのは本当に数える程度だったと思います」。

 塩谷は2019年1月にアジアカップメンバーとして日本代表に追加招集されたが、約1年半ぶりに再会した際は、「森保さんは森保さんだな。変わってないなと感じた」と振り返る。森保監督はミーティングで相手の特徴をすり込み、「相手のストロング(ポイント)を消して、ウィーク(ポイント)を突いていくようにする」のが基本のスタンス。ベーシックな部分以外に“締め付け”が少ない意図に関して、このように推察する。

「アジアカップではボランチをやらせてもらいました。球際で厳しくいく、デュエルする、走って戦う、といった本当にベーシックな部分は求められましたけど、特別にこうしろというのはなかったですね。代表クラスはみんな経験値の高い選手なので、信頼もしているからこそ、伝えることは“必要最低限”というのはあるはず。森保さんは、滅多に厳しく言わない。だからこそ、いざという時に効くというのもあるだろうし、選手がそういう状況にならないように前もって準備しておけるのが森保さんです。選手のメンタル、コンディションをしっかり見ていて、全体的にバランスが崩れる前に、上手くマネジメントをしていると思います」

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