天国の先輩へ捧げるゴール… 6試合38発の京都橘、喪章に思い込め選手権初戦で圧勝劇

京都橘が松本国際との1回戦を大差で制した【写真:河合 拓】
京都橘が松本国際との1回戦を大差で制した【写真:河合 拓】

徳島加入が内定しているFW西野太陽の2得点などで6ゴール発進

 京都府予選の5試合で32得点という圧倒的なゴールラッシュを見せてきた京都橘(京都)。その攻撃力は、全国の舞台でも健在だった。第99回全国高校サッカー選手権大会の1回戦で、松本国際(長野)と対戦した京都橘は、6-0という大差をつけて、京都府勢として6大会ぶりの勝利を挙げた。

 出場した直近の4大会で越えられなかった初戦の壁を、力強く破った。呼び水となったのは、前半10分に直接入りそうな弾道を放ったMF中川樹のCKをDF金沢一矢が力強くねじ込んだ先制点だ。米澤一成監督が「1点目が大きかった」と振り返るゴールが決まると、選手たちは左腕に巻いていた喪章を上空に掲げた。

 それは、今年10月に亡くなった先輩への哀悼を示す喪章だった。2019年度に卒業したOBのMF湊麟太郎さんは、系列大学の京都橘大に進学し、大学でもサッカー部で活動をしていた。しかし、彼の後輩たちが選手権の京都予選初戦となる3回戦を迎える直前、朝練習を終えて帰宅する際に交通事故にあって亡くなったという。

 今大会に登録されている2、3年生は、昨年のレギュラーだった湊さんのことも知っていたため、精神的にショックを受けた。米澤監督も「私自身も彼の担任だったので、振り切らないと前に進めない。自分自身も含めて、何かしないといけなかった」と、喪章を付け始めたきっかけを明かす。

 喪章を左腕に巻いた選手たちは、一心不乱に相手のゴールを目指し、天国の湊さんに捧げてきた。その数は、全国大会の初戦を終えて「38」まで伸びている。

 京都橘は、2回戦で優勝候補に挙げられている昌平(埼玉)と対戦する。今夏、RYUKEI CUPで対戦した時には、0-3という敗戦を喫した。その試合を振り返り、キャプテンのMF中野晃弥は「夏はもうボールを回されて、取れなかった。でも、夏にやっていて相手の特徴も分かっているので、夏にやったところを生かせるように。僕たちは主導権を握れないかもしれませんが、しっかり耐えて、速い攻撃で仕留めたいと思う。その時から、切り替えの速さと球際の強さは変わったと思うし、そこでは勝ちたい」と、リベンジを誓った。

 この試合で2ゴールを挙げたFW西野太陽は、「あまり気負いすぎずに、1勝ずつ麟くんに報告していきたい。最終的に日本一になって、京都橘にも、麟くんにも報告したい」と、今後の戦いに闘志を燃やした。

 湊さんら1学年上の先輩たちが出場した前回大会は、シードのため、2回戦からスタートだった。左腕に巻かれた喪章とともに、京都橘の選手たちは3回戦進出、そして、その先を目指していく。

(河合 拓 / Taku Kawai)

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