堂安律が握る“昇格組”ビーレフェルトの命運 独メディアも注目「動きが滑らかで機敏」

今年最後の一戦は28戦未勝利のシャルケ、堂安の活躍に期待

 この日の活躍でドイツにおける注目度が一気にアップした堂安は、第12節アウクスブルク戦(0-1)では衛星放送「スカイ・スポーツ」ドイツ版のゲームハイライトでメインに取り上げられていた。

「ビーレフェルトの新しい見どころ。あのペップ・グアルディオラが『彼は非常にいいよ』とも話していた。最初のシュートチャンスも堂安だ。動きが滑らかで機敏。そして素晴らしいシュートテクニックを持っている。ほとんどの攻撃は堂安を経由。ピッチ上どこにでも顔を出し、チームを牽引している」

 だがビーレフェルトは押し気味に試合を進めながらもゴールが奪えない。結局、一瞬のスキを突かれた失点を取り返すことができないまま0-1で敗れてしまった。

 試合後にインタビューに応じた堂安は「たくさんのチャンスを作ったから、そこからゴールを決めないといけなかった。僕自身も1ゴールか1アシストを決めないと。とてもがっかりしている。でもたくさんチャンスを作ったことは間違いないから、次の試合ではそれを生かして、試合に勝つ」と答えている。求められているのは惜しいプレーではないことは分かっている。それだけに、次の試合に向けての気合いは高まっていることだろう。

 今年最後の試合となるその一戦の相手はシャルケ。28戦未勝利という不名誉な記録を更新中で、ブンデスリーガ記録となる31試合連続未勝利まであと3試合に迫っている。第12節フライブルク戦では良いところが全くないまま0-2で敗れているが、そうした状況のチームだからこそ、どんなサッカーをしてくるのか分からない怖さがある。

 ビーレフェルトは組織的な守備で落ち着いて試合を運びながら、相手の綻びを逃さずにゴールを強襲したい。勝てていないチームは、試合の流れを的確に読み取ることができなくなる。フライブルク戦での失点も、自分たちが右サイドで攻撃を仕掛けている最中にボールロストしたところから生まれているが、左サイドバックが足を止めてボールの状況を見てしまったために、最後のところで相手に完全にフリーでシュートを許してしまっている。

 そうしたズレに堂安が上手く流れ込み、ボールを受けることができたら、得点の可能性はかなり高くなるはずだ。大勝する必要はない。1-0の勝利で十分だ。その1点を生むための存在として、堂安の活躍に期待がかかる。

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(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)



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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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