アマチュアから飛躍した“ダイヤの原石” 福岡の速攻を支える万能型フィニッシャー【J2からの推薦状】
FW遠野大弥(アビスパ福岡):プロ1年目から二桁得点、創造性あふれるストライカー
ヴィッセル神戸のFW古橋亨梧(元FC岐阜)のように、J2での活躍からJ1に飛躍し、リーグを代表する選手に成長していく例は近年、増加傾向にある。本企画では「J2からの推薦状」と題し、次の“スター候補生”たちを紹介していく。
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アビスパ福岡のFW遠野大弥は、切れ味鋭いドリブルと背後への抜け出しを武器にゴール前へと侵入し、高精度のフィニッシュでチャンスをモノにする万能型のFWだ。多少アバウトなボールでも、アウトサイドでのトラップなどで収めてしまうほどの技術も備え、その能力は多岐にわたる。
現在はJ2リーグで活躍する遠野だが、高校卒業後は昨季までJFLのHonda FCに在籍していた元アマチュア選手。加入3年目の昨季はJFLベストイレブンに選出される活躍を見せ、天皇杯では北海道コンサドーレ札幌、徳島ヴォルティスから得点を挙げると、4回戦では浦和レッズ相手に勝利をつかんでベスト8進出に貢献した。このプレーが認められて、川崎フロンターレに完全移籍で加入。今季は経験を積むために福岡に期限付き移籍となり、プロ1年目から二桁得点(41試合終了時点で11得点)と飛躍のシーズンを過ごした。
最大のストロングポイントは、ドリブル突破を含むフィニッシャーとしての仕事。特にゴールに直結するポジションニングが秀逸だ。その強みが凝縮されていたのが、第22節・V・ファーレン長崎戦(3-1)で挙げた2得点だろう。相手の視界から消える動きでクロスに合わせた1点目。そしてDFの間でスルーパスを受けてから、力強く運んでゴールを射止めた2点目。いずれもストライカーとして高い能力を示すシーンだった。
ただ、遠野の長所は決してゴール前だけに限定されるものではない。創造性に優れ、DFのアプローチを受けてもボールを浮かせて華麗にかわすこともできれば、スピードに乗ったドリブルから意外性のあるパス供給も可能。守備面でも前線からのチェイシングやプレスバックは献身的で、マイボールになった際のスプリントは福岡の強みである堅守からのカウンターを実現するために不可欠な要素だと言えるだろう。
21歳にしてこれだけの完成度を誇る遠野は、J1昇格を決めた福岡としても当然、来季に向けて引き留めたい戦力だろう。ただ、今季を通して披露してきたスキルと創造性をもってすれば、J1王者・川崎への復帰も選択肢に入るはず。J2を彩った“ダイヤの原石”から目が離せない。