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“運命の悪戯”が引き寄せた”最高のドラマ” サッカー界を彩るクロップとドルトムントの物語

リバプールのクロップ監督と古巣ドルトムントが因縁対決
3月18日、UEFAヨーロッパリーグ準々決勝の組み合せ抽選会でドロワーを務めたアレクサンダー・フライは、対戦カードを決める6枚目のくじを引き、その中身を確認すると、苦笑いにも似た微笑みを浮かべた。そして、その紙を視聴者に向けると、書かれていたのはセビージャの名。その瞬間、3試合目のカードが決定し、会場はどよめきに包まれた。なぜなら、残されたくじは2枚であり、次にどちらを引こうとも4試合目の対戦カードが決定したからだ。残されていた2チーム――それがドルトムントとリバプールだった。
「ドルトムントとは当然、当たりたくない。大会最強のチームと対戦するなら、決勝がいいね」
ベスト16でマンチェスター・ユナイテッドを退けた後、リバプールのユルゲン・クロップ監督は、そう口にした。現在プレミアリーグ2位と好調のトットナムに圧勝し、ベスト8に駒を進めた優勝候補筆頭のドルトムントとの対戦を避けたいのは、どの監督も同じだろう。しかし、クロップ監督とドルトムントとの間には、他の誰もが決して描くことのできない物語が存在する。
ドイツ人の知将は2008年からの7シーズン、ドルトムントを率いた。就任当時は低迷していた古豪だったが、圧巻のマネージメント力で見事にチームを蘇らせた。2010-11シーズンには、まだ世界的には無名だったMF香川真司を日本から獲得し、1年目からその才能を開花させると、勢いに乗ったチームはブンデスリーガ連覇を達成。前線からの連動したプレッシングとショートカウンターを生命線とした「ゲーゲン・プレス」を駆使したチームは、主力メンバーを少しずつ入れ替えながらも進化を遂げ、12-13シーズンにはUEFAチャンピオンズリーグで決勝進出を成し遂げている。
こうしてドルトムントに黄金期をもたらしたクロップ監督だったが、終焉は突如として訪れた。14-15シーズン、開幕から大不振に陥ったチームは、前半戦を最下位で折り返す事態に。一時代を築き上げたチームに充満したマンネリ化を止めることのできぬまま、クラブは”英雄”監督のシーズン終了後の退任を発表。7年間に及んだ美しいストーリーに、ピリオドを打つこととなった。





















