正しいルールを「広めていかないといけない」 今なお続く“キーパーチャージ”の誤解

GKへのファール基準に注目(※写真はイメージです)【写真:高橋学】
GKへのファール基準に注目(※写真はイメージです)【写真:高橋学】

「Jリーグジャッジリプレイ」でGKへのファウル基準について議論

 GKへのファウルの判断は、審判にとって識別しにくい部分だ。このファウル基準について話題となったシーンが、DAZNの「Jリーグジャッジリプレイ」第23回の配信で解説されている。

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 取り上げられたのは、J1第24節、ガンバ大阪対柏レイソルの後半7分の場面だ。G大阪の左サイドからのCKに、G大阪FWパトリックと柏GKキム・スンギュが競り合い、キム・スンギュがボールをこぼしたような形でゴールが決まっている。この際、キム・スンギュはファウルを訴えているが、試合を担当した中村太主審はゴールを認めている。

 現在のルールでは、GKに対する特別なファウル基準としての“キーパーチャージ”は存在しない。GKもフィールドプレーヤーと同等と捉えられているため、今回のシーンも正当な競り合いで「GKが競り負けてしまった」だけという意見が出ている。

 ただ、JFA審判S級インストラクターを務める廣嶋禎数氏は、別の見解を示した。キム・スンギュの右手をパトリックが不自然に妨害したようにも見えるとし、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)があったなら、ファウルという判定もあったのではと考察している。

 さらに番組では、すでに競技規則に載らなくなって久しい“キーパーチャージ”という言葉がSNSで上がっていることについて議論を展開。サッカーのルールを扱う番組として、「(正しいルールを)広めていかないといけない」との意見に出演者全員が賛同していた。

 進行を務める桑原学氏は、番組の配信後に自身のツイッターを更新。“キーパーチャージ”がまだあるという誤解が多いことに言及し、「地上波で解説の方などが、未だにそれを知らずに喋っている影響が大きい」と、発信する側の責任もあると指摘している。

 GKとの接触は、ほとんどがゴールに直結する場面で起こるため、レフェリーも注意深く見る場面だ。現状、競り合い等では「フィールドプレーヤーと同じ扱い」とされているが、GKというポジションの特殊性ゆえに判定は難しさを伴う。今回、番組で取り上げられたことによって、知識のアップデートが進むことを期待したい。

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