堂安律はビーレフェルトで“噛み合っている” 経験値の低い昇格組、求められる役割とは?

堂安の有効的だったプレーと致命傷になりかけたミス

 2018年12月から指揮を執るノイハウスは、攻守における確かなオートマティズムをチームに植えつけ、組織としての連動性はすでに高いレベルにある。ただ前述した通り、ブンデスリーガの舞台では連携だけでは以前のようにチャンスは作れないし、ピンチを防げない。自分たちの組織力をベースにしながら、相手を上回る局面を少しずつでも増やしていくことが求められる。

 インサイドハーフに入った堂安は味方との距離感を大事にしながら、特につなぎの局面で重要な役割を果たしていた。相手のプレスを受けても鋭く細かい動きですっとスペースへ持ち出すプレーが有効で、特にフランクフルトは中盤でのプレスの後方の守備に難があったため、そこをかいくぐったら、元日本代表MF長谷部誠を中心とした相手3バック前にぽっかりできたスペースを生かすことができる。そこからの展開で、ゴール前に迫るシーンが多く作れたことは大きな収穫だろう。

 一方でチームとして、ビルドアップからの展開で不用意なボールロストが多かった点は課題として残る。もちろん、相手との力のバランスやチームとしての狙いがあるうえで、そこを強みにしているわけではないのは分かるが、だからといってそれが原因で失点につながるようなことになったら、大きな問題になるのは間違いない。

 堂安にも一度、危ない場面があった。前半42分、中盤でターンしようとしたところでボールロスト。そこからのパスを受けた日本代表MF鎌田大地が、ダイレクトでペナルティーエリア内で待つフリーのFWバス・ドストへボールを流す。シュートまで持ち込むことはできずに、ビーレフェルトからすれば助かったものの、こうしたピンチは致命傷にもなりかねない。

 パスの出口を作りながら起点を作れる時は作る、無理せず前線の大型FWクロスにパスを飛ばし、セカンドボール回収に移る時はそうする。そのあたりの判断基準とプレー精度を高めていくことが、1部残留に向けて非常に重要になるはずだ。

(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)

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中野吉之伴

1977年生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA-Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。『ドイツ流タテの突破力』(池田書店)監修、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)執筆。最近はオフシーズンを利用して、日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。

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