ブラジル人FWルーカスの心を揺さぶった「美しき応援」 異国の地・日本で愛された理由は?

現在は母国ブラジルで暮らしているルーカス【写真:本人提供】
現在は母国ブラジルで暮らしているルーカス【写真:本人提供】

「日本人は受け入れ上手。礼儀正しいうえに柔軟だ」

 日本で愛され、成功するための大事なポイントは、ルーカスが日本語を話す努力をしたことだと言う。

「最初に、FC東京で梶山と仲良くなって、食事やいろんなことを一緒にやりながら、言葉を覚え始めたのが良かった。他の日本人選手たちも一緒にいてくれたし、きちんと学ぶために個人レッスンも少し受けた。たとえ間違っても、僕は日本語で話したかったし、それをみんなが感じてくれたことが大事なんだ。

 外国人は助っ人としての責任があるけど、みんなより上に立つわけじゃない。僕は日本人と同じようでいたかった。ただ、ブラジル人の闘志を忘れず、自分の持ちうるベストなものをチームにもたらそう、と。そういう考えを理解してもらうためにも、日本語を話すのは大事なことだった。間違いながらだけど、今も話せるよ。日本で食事に行っても困らないし、電車やタクシーに乗ってどこへでも行ける(笑)」

 日本の思い出話は尽きず、インタビューを終えるのが名残惜しいほどだ、と笑いながら、最後にサポーターへのメッセージを送ってくれた。

「言いたいのは『ドウモアリガトウ』。FC東京では『ルカルカルカルカ、ルーカスゴール♪』、ガンバでは『ルカゴール、ルカゴール♪』。あの声に支えられて、僕はいつでもゴールを目指していた。東京と大阪という、二つの素敵な街に暮らせたことも幸せだった。日本人は受け入れ上手。礼儀正しいうえに柔軟だ。アウェーで歓迎してもらえることにも、感動したものだよ。みんなにはこれからも、スタンドを満員にして欲しい。時にはブーイングしたとしても、日本のサポーターはそれが勝利のためだというのを忘れないし、選手を、チームを尊重してくれる。あの美しい応援が、Jリーグを、そして日本サッカーを強くするんだ。アリガトウ」

(藤原清美 / Kiyomi Fujiwara)



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藤原清美

ふじわら・きよみ/2001年にリオデジャネイロへ拠点を移し、スポーツやドキュメンタリー、紀行などの分野で取材活動。特に、サッカーではブラジル代表チームや選手の取材で世界中を飛び回り、日本とブラジル両国のテレビ・執筆などで活躍している。ワールドカップ6大会取材。著書に『セレソン 人生の勝者たち 「最強集団」から学ぶ15の言葉』(ソル・メディア)『感動!ブラジルサッカー』(講談社現代新書)。YouTubeチャンネル『Planeta Kiyomi』も運営中。

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