女王ベレーザの新エースへ 小林里歌子、目覚めた”主力選手の自覚”と仕掛けの意識

今シーズン強める想いを語ってくれた【画像はインタビュー時のスクリーンショットです】
今シーズン強める想いを語ってくれた【画像はインタビュー時のスクリーンショットです】

エース田中のINAC神戸移籍で目覚めた「自分がやらないといけない」意識

 ポジション変更以上に小林の意識を変えたのが、やはり田中の移籍だ。昨季チーム総得点(59)のうち20ゴールを挙げ、得点王とMVPをダブル受賞した絶対的エースが抜け、中心選手としての自覚が芽生えたと明かす。

「美南さんが移籍すると聞いた瞬間から、『自分がやらないといけない』という意識になりました。もみさん(籾木結花/ベレーザ→OLレイン→リンシェーピングFC)も抜けて、攻撃の中心だった選手が抜けたから点が取れないとは言われたくなかったので。これまでもやっているつもりでしたけど、振り返ってみれば『美南さんが点を取ってくれるだろう』という気持ちがどこかにあって、少なからず頼っていたと思います。今年は良い責任感を持ってポジティブにできていますし、今までで一番充実感があります」

 いわば“勝負の2020年”は、2019年に女子ワールドカップ出場メンバーに入るなど常連となったなでしこジャパン(日本女子代表)で、FW岩渕真奈(INAC神戸レオネッサ)と菅澤の牙城を崩していくうえでも重要な1年だ。

「ワールドカップでは、フィニッシュを含めてもっと日本のサッカーを出すことはできたという思いはありますけど、(ベスト16の)オランダ戦が惜しかった、じゃ意味がない。自分が出た試合で何もできず、すべてにおいて世界との差を痛感しました。ポジション争いにしても、試合に出たら結果を残したいという気持ちはあったとはいえ、少し傍から見ている感じはあったかなと。コンビネーションで味方を上手く使いながらゴールまで行くのが私の強み。誰と組んでも良い関係性を築ける部分を出しつつ、どんどん競争に食い込んでいきたいと思います」

 2021年に延期となった東京オリンピックのメンバー入りを目標に掲げ、「日々の練習、毎週の試合、その積み重ねが代表につながると思います」と、まずはベレーザでの戦いに全神経を集中させる。

「チームを勝たせられるような得点をたくさん取って、不可欠な選手になるのが理想です。今年はその思いが一番大きいですね」

 心身ともに充実の時を迎えている小林は、“絶対女王”ベレーザの新エースとしてチームを力強く牽引する。

※取材はビデオ会議アプリ「Zoom」を使用して実施。

(FOOTBALL ZONE編集部・小田智史 / Tomofumi Oda)



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