不振の鹿島はどこへ向かう? ビルドアップとハイプレスに挑戦も…見えない“完成予想図”

二つの変更点が上手くいった時、その先に何があるのか

 システムは4-4-2(または4-2-3-1)のままで、ハイプレスを行っている。実質的には4-2-4のプレスに近い。このやり方はホルヘ・サンパオリ監督の頃のセビージャ、現在のRBライプツィヒのような成功例もあるが、第一列の4人のところを外されると、中盤中央のスペースが大きすぎるという弱点がはっきりしている。

【注目】白熱するJリーグ、一部の試合を無料ライブ配信! 簡単登録ですぐ視聴できる「DAZN Freemium」はここから

 2ボランチの対人守備の強さを生かすという面では、鹿島に適しているようにも思える守り方だが、そこまでリスクをかける必要があるのかという気がする。サイドバックのプレス位置も高く、センターバックへの負担も大きい。ハイプレスは、今のところそれほどハマっていない。

 ビルドアップのほうは、自陣からつなごうとするためにミスが多発している。パスをつないで押し込み、それによってハイプレスを機能させようという意図だとしたら、むしろラフなロングボールを敵陣に蹴り込んで押し上げたほうが簡単だろう。ポゼッションして敵陣まで丁寧に運ぶのには、それなりの理由があるはずなのだが、今のところそれが見えてこない。

 ハイプレスのリスクを負いきれず、ビルドアップが覚束ない。ただ、むしろ疑問はこの二つの変更ポイントが上手くいったとして、その先に何があるのかだ。川崎になろうとしているわけではないだろうから、別の何かがあるはずなのだが、それが全く見えてこない。そろそろ「これが目指しているサッカーだ」という、サンプルになる試合を見せなければいけない時期だと思うのだが……。
[ftp_del]

[/ftp_del]

[ftp_del]
>>【PR】イングランド・プレミアリーグをDAZN(ダゾーン)で見よう!ネットでの視聴方法はこちら!
[/ftp_del]

(西部謙司 / Kenji Nishibe)



page1 page2

西部謙司

にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング