「泣けてきちゃう」 伝説のFKキッカーが感謝、Jリーグ創成期に刻んだ美しき思い出

エドゥー一家は日本の大ファンに【写真:本人提供】
エドゥー一家は日本の大ファンに【写真:本人提供】

空手を習うなど日本の文化に触れ、溶け込んだエドゥー一家

 チームメートたちの話をし始めると、エドゥーは止まらなくなる。

「前園(真聖)の技術的なクオリティーや器用さはブラジル人のようで、実際、彼はブラジルのサントスでもプレーした。その成長を手助けできたことを、心から嬉しく思うよ。MFとして一緒にプレーした山口(素弘)も印象深い。当時の日本代表監督だったファルカンが、僕に何人かの選手の情報を求めて電話して来た時に、山口が良いと薦めたほどだよ。反町(康治)は、あのインテリジェンスを生かして、監督になったんだよね。ドレッドヘアのGK森(敦彦)も、息子のことをすごくかわいがってくれた。イッペイ(渡邉一平)もみんな、いい仲間たちだった」

 ピッチの外では、エドゥーは困難をも楽しむメンタリティーを持っていた。

「面白い思い出がある。その日は寒かったのと、一応有名人だから目立たないように、顔半分が隠れるほどマフラーを巻いて、帽子とサングラス着用で出かけたんだ。でも、渋谷駅の構内で迷ってしまってね。そこで、最後の手段を思い付いた。大勢の人が行き交うなかで、僕はさっと帽子を脱ぎ、マフラーを取り、サングラスを外したんだよ。すると、次々に『えっ? エドゥーさん?』って、人が集まってきてね。そのうち、僕が困っていることに気付いてくれた人がいた。僕はここぞとばかりに行き先を連呼しながら、身振り手振り。それで、乗り換えのホームまで連れて行ってもらうことができた(笑)」

 彼の妻と息子は、日本で空手も習った。そういう一家だからこそ、日本人の友人もすぐに増えた。ポルトガル語、日本語、イタリア語、スペイン語、英語、それぞれが知っている言語を駆使した会話は「国連の会議のようだった」と笑う。こうした温かい交流によっても、エドゥー一家は大の日本ファンになった。

藤原清美

2001年にリオデジャネイロへ拠点を移し、スポーツやドキュメンタリー、紀行などの分野で取材活動。特に、サッカーではブラジル代表チームや選手の取材で世界中を飛び回り、日本とブラジル両国のテレビ・執筆などで活躍している。ワールドカップ6大会取材。著書に『セレソン 人生の勝者たち 「最強集団」から学ぶ15の言葉』(ソル・メディア)『感動!ブラジルサッカー』(講談社現代新書)。YouTube『Planeta Kiyomi』も運営中。

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