「自分の感覚的に5年分」 田中陽子、スペインでの“激動の1年”で感じた新たな刺激

リモートで取材に応じてくれた【※画像はスクリーンショットです】
リモートで取材に応じてくれた【※画像はスクリーンショットです】

1年目は怪我もあって自己評価は「50点」 それでも個の能力アップに手応え

 ウエルバはポゼッションよりも速い攻撃を中心とする。田中は日本で主体としていたドリブル突破からのチャンスメークやラストパスに加え、得意のミドルシュートを含めてこれまで以上にゴールを求められた。

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「1年目は主に、4-3-3のトップ下と左ウイングに入りました。スペインでは、とにかく自分の特長を出すためにどうするかを考えながらプレーしないといけません。キック力は周りも評価してくれていて、自分でもできるなと実感はありました。練習でミドルシュートを決めると、試合前に『この角度になったら打て』と言われていましたし、クロスとか、中に切れ込んで逆サイドの裏にパスを出してチャンスメークとかが多かったですね」

 日本からやって来た“助っ人”の田中に対し、スペイン人選手の同僚は惜しみなくアドバイスをくれていたという。

「スペイン人選手は思ったことをすぐ口にしてくれるので、私がボールを持ちすぎたり、判断が少し遅れてしまった時には、『あなたは動きが素早いから、(ボールを)持つよりも早くはたいて、ゴール前でまたもらって、点を決めるほうがいいと思う』とアドバイスをしてくれました。観客に響くプレーをしたら、試合後に褒めてくれる。イメージ通り、明るくてフレンドリーで優しいラテンな感じでしたね(笑)」

 初ゴールを決めたテネリフェ戦で、田中は前半終了間際に人生初の負傷交代。靭帯や筋肉などの大きな怪我ではなかったものの、回復まで2カ月を要した。復帰目前にスペイン国内で新型コロナウイルス感染が急速に広がり、リーグ戦は中断。非常事態宣言も出され、5月6日に女子1部・2部リーグはシーズンの打ち切りが発表された。

 海外挑戦1年目はリーグ戦13試合で1得点。「力を出し切れず、簡単なシーズンではなかったです」と複雑な胸中を明かしつつ、スペインでの日々は「刺激的だった」と振り返る。

「怪我も全部含めると、(1年目の)自己評価は『50点』くらいですね。怪我と(新型コロナウイルスの)パンデミックで実質半年間しかプレーしていません。ただ、本当に激動で、(シーズン途中に)労働条件を巡るストライキもあったり、自分の感覚的に5年経ったと思うほど中身が濃かったです。スペインでは攻守で1対1になる場面が多い分、個の力が上がったと思いますし、サッカー以外にも新しい言葉・文化に触れることで今までと価値観や感じ方が変わったのが、行って良かったと感じています」

 7月15日、ウエルバは田中と1年間の契約延長に至ったことを正式発表。田中はさらなる高みを目指して、スペイン2年目のシーズンに向かう。

<後編に続く>

※取材はビデオ会議アプリ「Zoom」を使用して実施。

(FOOTBALL ZONE編集部・小田智史 / Tomofumi Oda)

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