「自分の感覚的に5年分」 田中陽子、スペインでの“激動の1年”で感じた新たな刺激

スポルティング・ウエルバに移籍したMF田中陽子【写真:ムツ・カワモリ/アフロ】
スポルティング・ウエルバに移籍したMF田中陽子【写真:ムツ・カワモリ/アフロ】

【インタビュー前編】スペインリーグの想像以上の強さに驚きもウエルバで定位置を確保

 2019年夏にスペイン女子1部スポルティング・ウエルバに移籍したMF田中陽子は、激動のシーズンを過ごした。海外挑戦1年目で、労働条件を巡るストライキ、人生初の負傷交代による離脱、新型コロナウイルスの感染拡大による非常事態宣言とシーズンの打ち切り――。「自分の感覚的に5年分」という濃厚な1年で手にした“新たな感覚”を訊いた。

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 小学生の頃、元ブラジル代表MFカカに憧れて以降、海外志向を強く持ってきた田中。2019年6月になでしこリーグ(日本女子サッカーリーグ)1部のノジマステラ神奈川相模原を退団し、新天地に選んだのはスペインだった。

 スペインは近年、女子代表チームの強化が進み、テクニックと戦術面を兼ね備えたサッカーが特長。国内リーグでもバルセロナやアトレティコ・マドリードのビッグクラブが女子部門にも力を入れ、名門レアル・マドリードも2020-21シーズンから1部リーグに参戦するなど、女子サッカーへの関心度も高い。

 初めて海外の環境に身を置いた田中は、当初スペインに抱いていたイメージと“ギャップ”があったという。

「テクニックがあるのはもちろん、イメージしていた以上にフィジカルが強かったです。なでしこリーグで経験していたものと違ったので、最初は難しかったですね」

 ウエルバでは練習メニューにフィジカルトレーニングが取り入れられており、体幹やパワー面を強化。田中はそれ以外にも個人でジムに足を運び、フィジカルの差は徐々にアジャストすることに成功した。それでも、「ファウルの仕方」には衝撃を受けたと語る。

「スペインでは試合だけじゃなく、練習でもわざとファウルをすることが多くて、誰が見ても分かるくらいに服を引っ張ったり、後ろからラグビーみたいに抱え込んだりします。ピンチを防ぐためにわざとイエローカードをもらうスタンスは、日本と違い過ぎて本当にびっくりしました」

 開幕2試合連続でスタメン出場した後、一度ベンチスタートに回り、2019年10月13日のリーグ第5節バルセロナ戦(0-1)からレギュラーに定着。今年1月4日のリーグ第15節テネリフェ戦(3-1)で待望の移籍後初ゴールを珍しいヘディングシュートでマークした。

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