日本人アナリスト、ドイツ3部での挑戦 “監督業”への夢につながる「映像分析」の技術

ドイツ3部リーグのビクトリア・ケルンでアナリストをしている浜野裕樹【写真:本人提供】
ドイツ3部リーグのビクトリア・ケルンでアナリストをしている浜野裕樹【写真:本人提供】

【日本人アナリスト浜野裕樹の奮闘|第5回】次節の対戦相手を分析し、ゲームプランを構築

 ドイツ4部と3部の一番大きな違いはなんだろう?

 3部リーグのビクトリア・ケルンでアナリストとして働く浜野裕樹に、そんな漠然とした質問をしてみたところ、少し考えた後にこう答えてくれた。

「印象ですけど、ブンデスリーガ1~3部というので1グループみたいな感覚はあります。例えばテストマッチの相手が違う。3部だと代表中断ウィークとかだと、1部クラブからテストマッチの誘いが多く来るんですよ。ウチもFCケルンとか、シャルケとかとやりました。プロクラブと接している時間が多いなって思います」

 3部クラブになると、出会う人も変わってくるそうだ。アナリストのカンファレンスに呼ばれることもあるし、そこで他のプロクラブのアナリストと交流を持つことも普通にできる。「俺こんな人とやってたよ」「今度○○に移籍するんだ」「あそこの監督ってどうなの?」みたいな話を、日常会話の延長ですることができる。

 当然、求められる能力もグンと上がる。3部クラブに所属している選手個々の力は、4部リーグまでとはまったく違う。昨季までできていたことが3部クラブ相手だとできない。4部リーグだったら特に問題もなかった小さなミスが、大きなピンチにつながってしまうという。

「例えば相手がボールを持って回している時に、中盤でボランチの2人がちょっとでも揃って前めにポジションを取ってしまったら、すぐにその空いたスペースを使われてしまいます。スペースを与えてしまったら、そのまま一気にゴール前まで運ばれてしまう。『チームとして距離をコンパクトに保つ』『守備の際に自分のポジションをボールが越えたら急いで下がる』『4バックはボールの位置を基準に常にスライドする』『相手のクロスが上がってきた際にはボールと相手の両方を視界にとらえて対応する』など、基本的なところで差が出て対処できなくて失点というのが、前期はすごく多かったんですね」

 浜野はアナリストとして次節の対戦相手を分析し、ゲームプランを立てているが、そうしたチーム事情もあり、前期は有効活用してもらおうにも、できない状況が続いていた。試合開始直後に失点してしまうことが続いてしまったら、ゲームプラン云々どころではない。監督としても戦術を整備してという以前に、選手の心構えや3部リーグでの戦い方に関するメンタル面など、手がけなければならないことがいろいろとあったことだろう。ビクトリア・ケルンにとっての前期は、そうした様々な経験を積む時間となっていた。

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中野吉之伴

1977年生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA-Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。『ドイツ流タテの突破力』(池田書店)監修、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)執筆。最近はオフシーズンを利用して、日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。

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