「日本の練習は長すぎる」 メキシコ在住コーチが語る、両国の育成環境の違いとは?

ケレタロU-16アシスタントコーチの給田氏【写真:福岡吉央】
ケレタロU-16アシスタントコーチの給田氏【写真:福岡吉央】

個別の指導は「日本のほうが細かい」

 戦術練習は日本と比べると、そこまで緻密さはない。一般的な戦術練習がほとんどで、自陣のゴールに近いエリアでは攻守ともセーフティーにプレーし、ピッチ中央では想像力を働かせながらも見える味方にパスを出す。ゴール前では1対1を仕掛けるなど自由にやらせる。タッチ数を制限し、自陣のゴール前では3タッチ、中央では2タッチ、相手ゴール前はタッチ数自由という練習もある。

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 世界ではここ数年、GKからパスをつないでいく攻め方が主流になっているが、メキシコでは以前からロングボールが少なく、GKから丁寧につないでいくサッカーをしていたため、変化はないという。ボールポゼッションの練習も、パスをつないだ数を数えていくなど一般的なもので、試合のピッチの中の状況を想定したものは少ないのだという。

 給田氏は言う。

「メキシコは、いかにしてチームを動かしていくかという指導。個々の技術は勝手に上がってくるだろうという考え方です。ただ、周りを見ることや、ボールを受ける時の体の向きについてはほとんど指導されていないため、事前のアクションで相手を動かすというところまでできていない。

 例えば5対3をしていても、ボールを受けてから次どうするかを考えている選手もいるが、考えていない選手もいる。考えている選手はトラップの位置をどうするか、次のパスを出しやすいように体の向きも考えていて、首も振る。フィジカルに頼るサッカーをしてきた選手に考える習慣をつけさせるのは難しいですが、みんながそういう動きを覚えたらもっといい選手が増えると思います」

 また、日本のように個人練習、個人指導があまりないことも、メキシコの特徴だという。練習量がフィジカルコーチによって管理されているというのがその要因だが、給田氏は「どう体を入れたらいいか、どうやってシュートしたらいいかというような個別の指導はない。たまにFWだけ集めてシュート練習はしていますが、そこは日本のほうが細かい。用具係がボールを片付けてしまうので、残ってFKの練習をしたいという子もいない。たくさんやればいいというものではないですが、個人練習に関しては、メキシコも負荷のかからない範囲で取り入れてもいいのではないかと思います」と指摘する。

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