「日本の練習は長すぎる」 メキシコ在住コーチが語る、両国の育成環境の違いとは?

ケレタロU-14監督を務める塩沢氏【写真:福岡吉央】
ケレタロU-14監督を務める塩沢氏【写真:福岡吉央】

現地で戦う日本人指導者3人の証言 メキシコでは「フィジカルコーチの力が強い」

 サッカー界で“北中米の雄”と言われるメキシコは、A代表がワールドカップ(W杯)7大会連続の決勝トーナメント進出を果たした一方、近年はU-23、U-20、U-17の年代別代表も世界大会で躍進している。では、各クラブはどのようにして若手を育成しているのだろうか。また、日本との違いはどこにあるのだろうか。U-23メキシコ代表コーチの西村亮太氏、メキシコ1部ケレタロの下部組織で指導者を務める塩沢拓也氏、給田洋右氏の3人に現地で話を訊いた。浮かび上がってきたのは、日本とは異なる組織構造、そしてメキシコ人の国民性だった。

 メキシコのクラブの下部組織の練習を見に行くと、日本とは違った光景を目にする。目に留まるのは、年代別のチーム数、そして各チームのスタッフの数の多さだ。

 例えば、ケレタロでは男子はU-20、U-17、U-16、U-15、U-14、U-13、U-12、U-11と8つのカテゴリーに細分化されており、各カテゴリーでは監督、アシスタントコーチ、GKコーチ、フィジカルコーチ、ドクター、心理カウンセラー、栄養士、用具係と多くのスタッフがチームを支えている。一部、GKコーチやドクター、心理カウンセラー、栄養士らが複数の世代を掛け持ちしているが、練習時間は午前、午後に分かれており、各チームに所属する約25人の選手たちに目が届きやすい配置となっている。

 なかでもフィジカルコーチの権限が強いのが、メキシコの一つの特徴だ。J1リーグの湘南ベルマーレの下部組織でも指導者経験があるケレタロU-16アシスタントコーチの給田氏は、次のように語る。

「日本だとユースやジュニアユースでは、フィジカルコーチがいても3学年で1人とかだったりする。なかにはコーチがアップをさせているところもある。高校だと、監督が1人でバスも運転して、審判もやる。練習試合も1日に3試合、4試合とあり、選手は負けたら走って帰らされる。

 日本の練習は長すぎると思うんです。フィジカル的にどこまでやらせていいのかを分かっていない監督が多いし、それは体育の先生をしている監督でも同じ。メキシコではフィジカルコーチの力が強く、試合から逆算して、その日の練習の運動量がまず決められる。監督もそれに従って、そのなかで練習内容を決めるんです。分業制でそれぞれの役割分担がはっきりしています。こっちでは練習時間は2時間から2時間半だけですが、それでも体もできていくし、ちゃんとプロもコンスタントに輩出している。日本のように練習時間が長すぎることが原因で怪我が癖になってしまうと、若くしてサッカー人生が終わってしまう選手も出てきてしまいますよね」

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