クラウドファンディングで女子セリエA挑戦 無名の日本人DFが世界で示す“思いの力”

加藤みづほがプレーするUPCタバニャッコ【写真:本人提供】
加藤みづほがプレーするUPCタバニャッコ【写真:本人提供】

ユベントスやミランのようなビッグクラブを夢見て…「無名でもできるんだと示したい」

 2019年8月、イタリア北東部ウーディネ県のタバニャッコに拠点を置くUPCタバニャッコにトライアウトという形で練習参加し、そのまま契約を勝ち獲った加藤。同10月12日のセリエA第3節フィオレンティーナ戦(1-2)で待望のイタリアデビューを飾り、EU圏外の外国籍2枠のなかでサイドバックのレギュラーとして今季は16試合中14試合に出場している。

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 タバニャッコには、なでしこジャパン(日本女子代表)選出歴を持つMF國澤志乃も在籍。新型コロナウイルスの影響でシーズンが中断する前の時点で、降格圏の11位(2勝4分10敗)と苦戦を強いられたが、各国の代表選手が集まるセリエAで学ぶ日々だという。

「イタリアは組織での守備を重視します。ディフェンスラインを下げて戦うことも多いので、サイドバックはアップダウンが激しいですね。ユベントス、ミラン、ローマのようなビッグクラブには各国の代表選手がたくさんいて、マッチアップする相手はスピードのあるサイドアタッカーが多い。ファウルも多いですけど、毎試合すごく良い経験だし、間違いなく成長する糧になっています」

 憧れや理想の選手を尋ねると、「よく訊かれるんですけど、あまりいないんですよね」と苦笑する加藤。「スピードには自信があるので、しっかり守って、オーバーラップからアシストしたり、攻守に関わる選手でいたいというこだわりはあります」と語る。サッカー選手として独自の道を歩んできた彼女が見据える、今後の目標とは――。

「今まで代表に呼ばれた経験もないので、正直なでしこジャパンというのは現実的な目標ではないかなと。でも、ユベントスやミランのようなビッグクラブでプレーしたいし、チャンスはゼロではないと思っています。チャンピオンズリーグのような大きな大会があるのは欧州の魅力の一つ。やっぱりその舞台に立ちたいですね。私が今イタリアでやっていることが、これから海外で挑戦したいなと思っている人たちに、『無名の選手でもできるんだよ』と示して、一歩踏み出すきっかけになればいいなと思っています」

 人々を勇気づける方法は一つではない――。形にとらわれず夢を追い求め、未開拓の地にも恐れずに飛び込んできた加藤の生き様は、それを物語っていると言えるだろう。

※取材は4月4日に電話にて実施。

[PROFILE]
加藤みづほ(かとう・みづほ)/1992年12月13日生まれ、愛知県出身。福井工業大学附属福井高―大阪体育大―1.FCケルン(ドイツ)―UPCタバニャッコ(イタリア)。スピードを武器に、両サイドバックをハイレベルにこなす。クラウドファンディング女子セリエAプレーヤーとして、日本と世界をつなげる“架け橋的な存在”を目指す。

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