手倉森監督を男にした“燻し銀の男” リオ五輪決定弾の原川「恩返ししないといけない」

後半ATに左足で決勝点後、指揮官とハイタッチ

 1-1のまま刻々と時間は進み、アディショナルタイムへと入った。残り時間は幾分かもない。27日のリオデジャネイロ五輪アジア最終予選を兼ねたAFC U-23選手権準決勝。日本とイラクに残された時間はわずかだった。誰もが延長戦への突入を予期し始めていたが、そこで劇的な幕切れが用意されていた。

 右サイドから南野拓実(ザルツブルク)がクロスを放り込む。それを相手GKがはじき返す。ペナルティーエリアが待ち構えていた、原川力(川崎フロンターレ)はそれをワントラップすると、左足をふり抜いた。

「右からプレッシャーが来ていたのが分かったので、左に置いた。そこからは何も考えていない。とりあえず、枠に収めようと思って打ちました」

 左足に残るインパクトの感触は悪くはない。シュートの軌道は、イラクのDFが重なりあって見えなかった。だが、ネットに収まるボールを見た瞬間、原川はベンチに向かって走り出して いた。

 仲間たちにもみくちゃにされると、手倉森誠監督とはハイタッチを交わした。

 

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