西野朗監督、タイの“国民性”を包み込む指導で8強入り 東京五輪切符まであと2勝

西野監督はA代表で札幌MFチャナティップらも指導している【写真:Getty Images】
西野監督はA代表で札幌MFチャナティップらも指導している【写真:Getty Images】

“スイッチ”役となるのは指揮官自身 「コーナーでボールキープしろ!」

 例えば第3戦のイラク戦。引き分け以上で突破できた一戦で先発を7人入れ替えて臨んだ。いわゆる“サブ組”がプレーした一戦で、前半6分にVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)判定によりPKを獲得。先制に成功したが、後半4分には同点に追いつかれてしまった。それでも、引き分けで突破は確定。指揮官は中東の強豪相手で「一瞬で突いてくる。1人が速かったりするので、警戒はさせていた」。ここで守備のスイッチを入れさせるために「オーバーラップなし」と左サイドバックに指示した。

 最後は総力戦で守備に奮闘するも、試合終盤間際の後半44分だった。カウンターから左サイドを突破され、クロスを上げられると中央の選手がヘディングシュート。ドンピシャで枠内に飛んだが、GKに当たりピンチをしのいだ。後半アディショナルタイムになっても、「コーナーでボールキープしろ!」と細かく注文。西野監督の声に選手は反応し、試合終了の笛が鳴るまで戦い続けた。

 試合後はスタンドで「アキラ・タイランド」の大合唱。西野監督も微笑みながら手を振って応えた。タイでも愛される男――。そんな西野監督の“東京凱旋”が見たいとバンコクの夜が思わせてくれた。

(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)



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