森保監督の致命的な“判断ミス”  英記者が日本惨敗の要因を指摘「面白みも活気もなく…」

シリア戦ではフル出場し奮闘したMF齊藤未月【写真:Getty Images】
シリア戦ではフル出場し奮闘したMF齊藤未月【写真:Getty Images】

シリア戦での選手の“節制”を糾弾 「唯一、ダイナミズムを生み出していたのは…」

 日本はサウジアラビア戦の敗戦後、大きな批判を受けることになったが、正直なところ、攻撃に迫力こそ欠いていたものの、初戦ということを踏まえると、それなりに満足のいくサッカーを披露していた。サウジアラビアの守備は質が高いうえに手堅く、カウンター攻撃は破壊力を備えていた。彼らとの激戦を落としたのは残念ではあるが、全く予想できないことでもなかった。状況は、全体的に回復可能なはずだった。

 シリア戦に関しては、同じことを言うことはできない。必ず勝たなければいけない状況だっただけでなく、日本が勝つべき相手だった。森保監督にとってリスクを背負うべき局面ではなかったが、裏目に出た。特に前半は面白味も活気もなく、生ぬるいパフォーマンスだった。アタッキングサードで打つ手がなく、選手たちはエネルギーを節制することに意識を向けているように見えた。唯一、ダイナミズムを生み出していたのは、齊藤未月だけだった。他の選手に関しては、もし再び日本代表で戦う機会があるとするならば、それはとても幸運だと思うべきだ。

 試合をより悲観的にし、暗い内容に沈む無力さが、日本の敗退を引き起こし、トーナメント全体にも影響をもたらした。このチームには、もっと世渡り上手になる必要がある。もしそうであれば、最終的に敗退へと追い込まれることになったサウジアラビア戦とシリア戦の失点は、なかったことにできたかもしれない。

 ただし、良い面もある。10人となったカタール戦の後半では、選手たちは退場者のため、そして母国の名誉のために闘志を示した。実際、後半は数的不利にもかかわらず、日本が試合の主導権を握っていた。グループリーグの中で、その闘志と推進力をもっと早く発揮し、もっと長く持続できていれば、日本が道半ばで帰国することはなかったかもしれない。

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マイケル・チャーチ

アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。

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