“変幻自在ドリブラー”を輝かせる堅守 昌平が難敵に快勝、埼玉勢38年ぶり優勝へ好発進

昌平高校の選手たち(写真は入場行進時のものです)【写真:Football ZONE web】
昌平高校の選手たち(写真は入場行進時のものです)【写真:Football ZONE web】

初戦で興國に2-0勝利、3回目の選手権出場で初の3回戦進出と1試合2得点

 第98回全国高校サッカー選手権は2日、首都圏8会場で2回戦の16試合が行われ、浦和駒場スタジアムでは昌平(埼玉)が興國(大阪)に2-0で快勝し、3回目の出場で初の3回戦進出と1試合2得点を記録した。

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 両チームとも高い個人技を誇る選手を多数抱え、ドリブルと短いパスを主体に攻撃を組み立てる共通点があった。序盤の5、6分こそ興國が敵陣に攻め込む展開だったが、80分を通じ総じてペースを握っていたのは昌平で、2-0というスコアだけでは表せない完勝と言えた。

 大宮アルディージャのジュニアユース出身で、ユースに昇格できながら高校サッカーを希望して昌平に入学したMF須藤直輝が、変幻自在のドリブルでバイタルエリアに進入。ブンデスリーガのフランクフルト所属で、日本代表MF鎌田大地を兄に持つ右2列目の鎌田大夢、左2列目のMF紫藤峻も須藤に劣らぬキープ力と推進力を発揮し、敵のマークをはがすのに有効な仕掛けを繰り返す。

 2年生の1トップFW小見洋太は、鋭い動き出しで守備ラインの背後を狙い続けるなど、ドリブルと長短のパス、効果的なサイドチェンジのパスを使って興國をほぼ防戦一方に追いやった。

 そして0-0で迎えた後半6分に決勝点が生まれた。須藤を狙ったMF小川優介のパスはカットされたが、須藤がこぼれ球に素早く反応して左足で突き刺した。5分後には、相手GK田川知樹がDF平井駿助に預けたボールを鎌田が出足鋭いプレスで奪い取り、難なく2点目を蹴り込んだ。

 ここ数年の昌平は攻撃陣にタレントが多く、毎年のように次から次へとニューカマーが出てくる。このチームも須藤や鎌田にスポットが当たるが、強さを支えているのは全員に浸透する守備意識の高さと実行力である。

 前評判の高かった興國に2本のシュートしか打たせなかった。昌平の藤島崇之監督は、「埼玉予選から1試合ごとに守備が良くなっている。連動性を持って守れたことが、無失点に抑えられた要因」と説明し、「ウチは攻撃陣がフォーカスされがちですが、ベースは守りにある」と組織的守備こそチームの心臓部であることを強調した。

 自陣ではボールを回しても、興國は肝心のくさびを前線に入れられなかった。昌平のプレス網が至るところに張り巡らされ、厳しい包囲網に潰されてしまい、勇敢なる縦パスを打ち込めなかったのだ。

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河野 正

1960年生まれ、埼玉県出身。埼玉新聞運動部で日本リーグの三菱時代から浦和レッズを担当。2007年にフリーランスとなり、主に埼玉県内のサッカーを中心に取材。主な著書に『浦和レッズ赤き激闘の記憶』(河出書房新社)『山田暢久火の玉ボーイ』(ベースボール・マガジン社)『浦和レッズ不滅の名語録』(朝日新聞出版)などがある。

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