駒大高がダークホースに名乗り 「和製ゲーゲン・プレス」を捨て初の8強進出

切り捨てた伝統の哲学

「今日はいつものようにハードワークとプレッシングに徹するのではなく、大人のサッカーをしようと伝えていた。連戦続きなので、休むところは休まないと」

 駒大高は、前線からのハードワークとプレッシングをベースに速攻を仕掛けるスタイルで3回戦まで駒を進めてきた。リバプールを率いるユルゲン・クロップ監督の十八番である「ゲーゲン・プレス」をほうふつとさせるサッカーで開幕から快進撃を続けてきた。

 しかし、この日は、過密日程で疲労の色が出始めたチーム状態を考慮し、監督は哲学を捨てた。ラインを下げつつ、踏ん張ってカウンターで勝機を狙う“省エネ”サッカーを展開。それでも残り時間が20分に迫ったタイミングでMF武智悠人、菊池らテクニックに優れた選手を投入。足の止まり始めた松山工相手に、勝機を見いだした。勝ち越した場面は、交代選手の細かなパスワークからゴールが生まれ、采配的中となった。

 初の8強進出を果たした駒大高は、5日の準々決勝でIH王者で今大会優勝候補筆頭の東福岡と対戦する。MF竹上有祥は「次に当たるのは、インター杯優勝の最強チーム。技術ではどうひっくり返っても勝てない。僕たちに残された勝機は、やはりハードワークとプレッシングです」と語った。格上相手に貫いてきた駒大のサッカーをぶつける。歴史を塗り替えたダークホースは、今大会最大のサプライズを狙う。

【了】

城福達也●文 text by Tatsuya Jofuku

 

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