久保建英が勝ち取った“信頼” マジョルカ唯一の光明、現地記者も称賛「違いを生み出す」

「ラジオ・マルカ」のルイス・フォルテサ記者【写真:Football ZONE web】
「ラジオ・マルカ」のルイス・フォルテサ記者【写真:Football ZONE web】

スペイン人記者も高評価 「ボールに触るたびにチャンスを作っていた」

 久保はまた、この試合で両チーム合わせて最多となる3本の枠内シュートを記録。マジョルカの枠内シュート数は7本で、久保のほかラゴ・ジュニオールが2本、ライージョとフェバスが各1本を打っていた。一方、ベティスの合計はわずか3本(フェキル2本、ホアキン1本)で、久保1人と同じ数字だった。

 また、この日の久保はいつも以上に守備意識が高かったように見えた。相手を振り向かせないように激しく体を寄せてファウルを取られ、後半開始直後にはペドラサを後ろからつかんでイエローカードをもらっていた。ファウル自体はもちろん褒められたものではないが、これらのプレーは久保の守備への意欲からきたものであり、今まで以上の気迫が伝わってきた。

 試合後のフラッシュインタビューで久保は、「彼らのプレーは僕たちのミスで生まれたものだったが、それを許してはダメだ」と失点について反省し、「ジョエルが僕たちを凌駕した。彼のことを祝福しないといけない」と、この日合計6度のセーブを見せ、マジョルカの得点チャンスをことごとく阻止した相手GKのハイパフォーマンスを讃えた。

 スペイン紙「マルカ」、「AS」ともに試合翌日の紙面で、ベティス戦の久保についてチームトップの2点(最高3点)をつけた。「マルカ」紙ではダニ・ロドリゲス、フェバス、ラゴ・ジュニオール、「AS」紙ではフェバス、ラゴ・ジュニオールが久保と同評価だった。

 マジョルカの地元紙「ウルティマ・オラ」も、久保についてラゴ・ジュニオールと並びチーム最高の2点(最高3点)を与えたが、「前後半とも相手ゴールを破るチャンスをつかんだが、決定的チャンスを何度も外した」と、やや辛辣な意見を述べていた。

 さらに紙面で久保をピックアップ選手に挙げ、「相手ゴールに対し最も主役となった選手の1人だった」と高く評価。しかし「徐々に攻撃でベストの姿を見せていったが、ゴールを決めるには不十分だった。常にチームメートにパスを送ることを目指し、難しいことをやらずにゴールを求めたが、いくつかのチャンスで確実さを欠き、ジョエルのファインセーブが久保からゴールを奪った」と寸評した。

 また、スペインのラジオ局「ラジオ・マルカ」のルイス・フォルテサ記者はこの日の久保について、「ここ最近の試合で、とても良いパフォーマンスを見せている。直近の4試合にスタメン出場し、マジョルカのなかで違いを生み出す選手となり、ボールに触るたびにチャンスを作っていたよ。まだとても若く、プレーを成熟させる必要はあるが、マジョルカに大きな喜びを与えてくれると確信している」と期待を寄せた。

高橋智行

たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング