ベレーザ長谷川&清水×W杯優勝経験者エジミウソン “勝者のメンタリティー”の継承

東京オリンピックで日本が勝利を収めるために必要なものとは【写真:Getty Images】
東京オリンピックで日本が勝利を収めるために必要なものとは【写真:Getty Images】

ブラジルは「守備の選手も股抜きをする」(長谷川)「1対1を楽しんでいる」(清水)

――実際に南米出身選手と対戦した経験のある2人は、ブラジル女子のサッカー事情について訊きたいことはありますか?

長谷川「男子同様、南米の女子選手も股抜きとかトリッキーなプレーがすごく多い印象があります。もちろん日本にも股抜きをする選手はいるんですが、ブラジルは特に守備的な選手でも股抜きをするイメージです。そういった発想は、やっぱりストリートサッカーから生まれているんですか?」

エジミウソン「大きなリスクを背負った状態でも、敢えて股抜きにチャレンジする。ブラジル全土、ブラジル国民はむしろブラジルサッカーを魅せてなおかつ勝つ、そういう部分を一番大事にしています。私の印象では、日本はもし失敗したら2回目、3回目のチャレンジをしなくなってしまう環境のような気がします。リスクを背負ってそこまでやる必要はない、という考えがあるのかもしれませんが、ブラジルはそうではありません。私たちは即興性のある、その瞬間に状況を打開することで生まれる優位性を意識しているのが特徴です」

清水「私もブラジルの選手と何回か戦ったことがありますが、対峙した時に1対1を楽しんでいる印象を受けました。次にどんなプレーを出してくるんだろうと。基礎の中に、1対1の練習はやっぱりありますか?」

エジミウソン「ブラジルサッカーを皆さんがイメージすると、テクニカルな部分やクリエイティブさ、状況を一瞬で打開して優位に進めるような印象があると思います。女子サッカーも常に男子サッカーを見て、それを自分たちの中にリンクさせていく関係性があります。ブラジル男子代表はテクニシャンを攻撃的なポジションに置くのは歴史が語っていますし、女子でもそういう部分を参考にしてチャレンジしている選手はたくさんいると思います。これからも勝負を懸けてくる選手と、たくさん対戦することになるでしょう(笑)」

――2020年には東京オリンピックが開催されます。日本が自国開催の大会で成功を収めるために、エジミウソンさんは何が必要だと思いますか?

エジミウソン「2011年の優勝から年月を経て、これまでの変化と新しい世代が融合して今の代表につながっていると思います。自分たちの歴史として過去と今をしっかり認識するのはもちろんですが、やはり東京オリンピックに向けては過去を捨てて、チームとしての総合力を高めることが一番重要だと思います。ブラジルで言えば、マルタ(ワールドカップ通算得点記録を持つベテランFW)がおそらく今大会で代表を退き、次の世代に入れ替わっていく流れになっています。日本も新しいメンバーが入ってきたりするでしょうから、そこまでの準備が鍵になるはずです。

 今年の女子ワールドカップもそうですが、日本は常に世界のトップに行けるベースは作られている。実力はもちろん、少しの運も必要かもしれません。東京オリンピックに関して言えばホームですし、プレッシャーを感じず、自信を持って臨んでもらいたいです」

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