“速くて上手い”食野は「ハーツの希望」 英初ゴールに重なる若き日のルーニーの姿

食野に重なる若き日のルーニーの姿 指揮官も絶賛「明らかな違いを作った」

 筆者も海外生活が長くなるが、こっちの暮らしに慣れる秘訣は、食野が言う「違いを楽しむ」という姿勢に尽きると思う。

 日本とこういうところが違う、とストレスばかりを感じ、違いを嘆いているばかりというメンタリティーでは、なかなか海外で成功できない。この点でも食野は合格だ。しかしその一方で、最近散髪をして「日本人の美容師、知りませんか? 失敗した。写真は撮らないでください(笑)」と言って、言葉が通じず思いどおりの髪型にできなかったことを若者らしく嘆いてみせた。

 こうした試合後に見せる茶目っ気に加え、トップ下で燃えるような闘魂を発散し、観衆をあっと驚かせるようなスピードとテクニックでゴールを決めた食野を見ていて、筆者の頭の中でその姿がダブったのが、“ワンダーボーイ”と呼ばれた若き日のウェイン・ルーニーだった。

 本人はエデン・アザール、リオネル・メッシを目標にしているので、私に“ルーニーとかぶる”と言われることを喜ぶのかどうかは分からないが、それは今度、取材をした時にぜひ聞いてみたいと思う。

 それはともかく、12試合も勝ち星がないハーツのクレイグ・レベイン監督が「明らかな違いを作った」と語り、「私に希望を与えてくれた」と言った食野のポテンシャルの高さは明白である。

 30分で見事に1ゴールが取れるなら、90分を100%でやれるコンディションに達し、スコットランドのサッカーに慣れた暁にはどんなプレーを見せてくれるのか。その日が、今から本当に楽しみで仕方がない。

(森 昌利 / Masatoshi Mori)



森 昌利

もり・まさとし/1962年生まれ、福岡県出身。84年からフリーランスのライターとして活動し93年に渡英。当地で英国人女性と結婚後、定住した。ロンドン市内の出版社勤務を経て、98年から再びフリーランスに。01年、FW西澤明訓のボルトン加入をきっかけに報知新聞の英国通信員となり、プレミアリーグの取材を本格的に開始。英国人の視点を意識しながら、“サッカーの母国”イングランドの現状や魅力を日本に伝えている。

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