長谷部誠の“終わらぬ冒険” フランクフルトを2年連続EL本戦に導いた日本人リーダーの姿

ストラスブール戦で提示されたレッドカードに抗議するフランクフルトMF長谷部【写真:Getty Images】
ストラスブール戦で提示されたレッドカードに抗議するフランクフルトMF長谷部【写真:Getty Images】

「このスタジアムの雰囲気が自分たちを前に前に行かせてくれた」

「(あのシーンでは)エキサイトはしていたし、自分自身もキャプテンだから、レフェリーにね、ディスカッションというか、そういう立場なのでいろいろ話しに行ったりして。そのなかで自分もイエローももらいましたけど、ぎりぎりのラインでレフェリーにもプレッシャーをかけられたと思う。スタジアムの雰囲気もプレッシャーをかけていたと思う。そういうところで相手も退場になっていた(後半10分にストラスブールMFディミトリ・リエナールが退場)。今日はキャプテンだったので、とにかく自分のことだけじゃなくて、チームのマネジメントとかを含めて、いろいろやらなければいけないなと思っていましたし、それが結果につながって良かった」

 ただプレーをするだけではない。試合全体の流れを考え、このシーンがどのような影響を及ぼすかを考察し、そのなかで自分にできることは何かを見つけ出し、それを実践してみせる。主審とのコミュニケーションを終えると、すぐにアディ・ヒュッター監督のもとへ走り、前線のポジショニングについて確認する。動いていたのは長谷部だけだ。

 その後、何事もなくハーフタイムに入れたことで、チームも一息つくことができた。わずか数分の時間だが、ここを凌ぐことができたからこそ、後半に相手も1人退場者を出し、その後フランクフルトが2点を奪って勝つこともできた。

「とにかく本当に、このスタジアムの雰囲気が自分たちを前に前に行かせてくれた。ただ、試合をやっていてみんなが前がかりになるんで、後ろの僕のところで大きい選手と1対1にずっとなっている場面はあったので、そういうところは堪えながら。ただ、後ろでやられることはなかったので(相手に)そんなに怖さはなかったですけど、こういう試合でも修正しないといけないところはあった。ただ、こういうプレッシャーのかかる試合で結果を出せたのは、本当に大きかった」

[ftp_del]
>>【PR】イングランド・プレミアリーグをDAZN(ダゾーン)で見よう!ネットでの視聴方法はこちら!
[/ftp_del]

page1 page2 page3

中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング