VAR導入後の世界は幸せか? “SF的”な視点で「サッカーの未来」を大胆予想

もはやサッカーは応援するものではなく、ただ賭けの対象として存在するのみに…

 そしてXXXX年、今や選手の機械化は進み、人造人間どころか機械そのものがサッカーをしている。正確には機械ではなく精巧なホログラムだ。フィールドに投影されるホログラム選手は、詳細なデータによってすべての動作が管理されている。選手が負傷するリスクは限りなくゼロに近くなった。

 もはやサッカーはスタジアムで見るものでもなくなり、劇場や映画館でも見られるようになった。ビッグクラブは全世界同時に試合を開催できるため巨額の利益を上げている。そしてサポーターはいなくなった。サッカーは応援するものではなく、ただ賭けの対象として存在している――。

 とまあ、すっかりディストピアな未来観測になってしまったわけだが、すべてを人間がやるという原則を崩した以上、そしてその推進力がビジネスなら、幸福な未来を描くのはけっこう難しいように思えた。技術の進歩が、こんな未来につながらないことを願っている。

(西部謙司 / Kenji Nishibe)



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西部謙司

にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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