【ベスト4決定】 手札はすべてさらけ出したか…ファン・ハール戦術の奥行き

割り切っているがゆえのオランダの弱点

 だが、割り切っている分、明確な弱点を抱えている。一つは、主に攻撃面で戦術的な幅に乏しいこと。プレッシングからのショートカウンター、ロングカウンターなど縦に速い攻撃に特化しており、ゲームメイカーがスナイデルしかおらず、攻撃に変化をつけることが難しい。名将ファン・ハールはそこも織込み済か、縦に速い3-5-2からワイドな攻撃を活用できる4-3-3も状況に応じて併用してワイドカウンターを織り交ぜた。とはいえ、攻撃の選択肢の乏しさに変わりはない。サインプレーを用意するなど、攻撃の幅をもたせることに腐心している。

 もう一つはDFラインがボールサイドへ寄せる傾向が強いため、ワイドに引かれると逆サイドで大きなスペースを与えてしまうことだ。このスペースに入ってくる選手にDFをつけると、DFラインにギャップを生み出してしまう。これは今大会のオランダの守り方に変わらぬ問題だった。準々決勝までは、チリ以外にワイドアタッカーを有効活用するチームがないため、あまり顕在化していないが、敵の出方次第では弱点を露呈することになる。

 準々決勝のコスタリカ戦では、相手の特徴を踏まえたうえでこれらの弱点を考慮し、ファン・ハールはフォーメーションと戦術を採用した。それは、序盤で試合を決められるのではないかというほどの好パフォーマンスを引き出す妙手となった。

 

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