「代表優先」はもう古い 久保建英のコパ・アメリカ招集案で問われる協会とJの姿勢

2年前のU-17W杯に出場したMFサンチョは、グループリーグを終えた段階でクラブへ戻っている【写真:Getty Images】
2年前のU-17W杯に出場したMFサンチョは、グループリーグを終えた段階でクラブへ戻っている【写真:Getty Images】

複数代表を兼ねるのはナンセンス、新たな有望株のために明快な基準を…

 基本的に複数の代表を兼ねるのはナンセンスだ。先述のサンチョも、久保のように二つの年代別W杯のかけ持ちはしていない。

 そもそもこうした年代別世界大会は、成長過程の選手たちに経験を積ませる意味合いが濃く、いわゆる先進国は上のカテゴリーでプレー可能な選手の基準を下げて、結果を獲りにいくことはない。おそらくFA(イングランドサッカー協会)も、サンチョには年代別世界大会より、UEFAチャンピオンズリーグやブンデスリーガでのプレーを望んだはずだ。

 久保は、最近注目された選手ではないわけで、こうした急成長も想定の範囲内だったはずだ。だからこそJFA技術委員会は、代表での酷使を避けるためにも、あるいは今後育ってくる新しい有望株のためにも、明快な基準を示す必要がある。

 もし久保が欧州クラブへ移籍すれば、いくら東京五輪のためでも都合の良い招集はなくなる。JFAは相手がJクラブだからと甘えてはいけないし、FC東京も多くのサポーターに支えられたタイトルを争うプロクラブとして、毅然と権利を主張すべきである。

(加部 究 / Kiwamu Kabe)

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近東京五輪からプラチナ世代まで約半世紀の歴史群像劇49編を収めた『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』(カンゼン)を上梓。『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(ともにカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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