クロップは希代の”補強の達人” 年間100億を使う浪費癖のリバプールに救世主

就任5年51億でドルトムントをCL決勝へ導く

 リバプールの新監督に就任したユルゲン・クロップ監督の、買い物上手ぶりが話題となっている。英地元紙「リバプール・エコー」によれば、ドルトムントの監督就任から2012-13シーズンにUEFAチャンピオンズリーグ(CL)決勝に到達するまでの間で、選手獲得に費やした金額は約2800万ポンド(約51億円)であるという驚きの事実が伝えられている。1人の選手に費やした最高額も、13年に獲得したドイツ代表MFマルコ・ロイスの1400万ポンド(約25億8000万円)だという。

 一方、リバプールはこの夏にベルギー代表FWクリスティアン・ベンテケ1人に3250万ポンド(約60億円)、ブラジル代表FWのロベルト・フィルミーノに2900万ポンド(約53億円)を投じるなど、1シーズンで100億円以上を注ぎ込む大型補強を敢行。ブレンダン・ロジャース前監督はベンテケの才能に惚れ込み、「ベンテケの獲得はバーゲンセール」と語っていた。

 リバプールの”浪費癖”には、イングランド代表の若き逸材FWラヒーム・スターリングを4900万ポンド(約90億円)でマンチェスター・シティに売却したことや、プレミアリーグの莫大なテレビ放映権収入に支えられている側面もある。加えてプレミアの移籍市場は近年インフレ傾向にあり、クロップ氏がドルトムントを指揮していた時代と比べ、補強を行う環境には大きな差が生じている。

 だが、そうした面を踏まえても、クロップ氏が「補強の達人」であることは間違いない。2010年にはC大阪から日本代表MF香川真司を獲得した。すぐに中心選手となったこの小柄なアタッカーに投じた金額は、わずか35万ユーロ(約4760万円)。ドルトムントで主将を務めるDFマッツ・フンメルスや、MFイルカイ・ギュンドアンの移籍金もそれぞれ350万ユーロ(4億7600万円)と、今にしてみれば破格の値段だったが、香川はその10分の1という、まさにバーゲンセール価格での獲得だった。

 近年、積極的な補強を行うもタイトルに結びついていないリバプール。大黒柱だったMFスティーブン・ジェラードも退団し、世代交代も進められている最中だ。名門復活は、無名選手をワールドクラスの選手へと変貌させるクロップ監督の手腕にかかっていると言えそうだ。

【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

 

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