世界最高峰の“二大戦術”が激突 プレミア天王山でマンCを奮い立たせたペップの執念
今季の覇権の行方を占う頂上決戦、マンCがリバプールに2-1で勝利
もちろんトットナムもまだ消しきれないが、やはり今季は“2強”の優勝争いになるのではないか――。2019年1月3日、プレミアリーグ第21節のマンチェスター・シティとリバプールの直接対決を前に、多くの人の関心を引いたのは一体どのような試合展開になるのか、ということだった。
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爆発的な攻撃力を誇る2強が勝利を目指し、真っ向からぶつかり合ってゴールを奪い、今季のタイトルレースを占う真の天王山となるのか。はたまた21節目という早すぎた直接対決で、戦略的なドロー劇を演じるのか。実際に2018年10月7日の第8節、リバプールの本拠地アンフィールドで行われた今季第1ラウンドでは、両軍が守りのマインドを強め、バランス重視のプレーに終始して0-0のスコアレスドローに終わった。
しかしいずれにしても、これは“ペップ”の愛称で知られるジョゼップ・グアルディオラとユルゲン・クロップの対決である。それは現在の世界の戦術を二分する「ポゼッション対プレス」の戦い。その最高峰の試合が期待された。
完璧な技術とポジショニングでボールを制するグアルディオラか、驚異のフィットネスで波状プレスを繰り出し、スペースを制するクロップか――。現時点で最もファッショナブルな二大監督の対決は、同時にプレミア最強を争う新たな“ナショナル・ダービー”の様相を呈して、突如として世界のサッカーファンの注目を集めるビッグマッチに成長した。
これまでグアルディオラとクロップの対決は、ドイツ時代を含めて15戦。戦績はクロップの7勝3分5敗。世界で唯一ペップに勝ち越す男だ。イングランドでは昨季のUEFAチャンピオンズリーグ(CL)準々決勝のホーム&アウェー2戦を含め、クロップ・リバプールが3勝1分1敗で優勢。ドイツ人闘将の唯一の敗戦は、2017年9月9日の昨季リーグ第4節だった。シティの本拠地エティハド・スタジアムに乗り込んだ一戦で、リバプールは0-5の大敗を喫している。
しかしこの試合では、リバプールFWサディオ・マネが0-1で迎えた前半37分に一発退場。その後シティが10人のリバプール相手に4点を奪っており、敗因ははっきりしていた。
森 昌利
もり・まさとし/1962年生まれ、福岡県出身。84年からフリーランスのライターとして活動し93年に渡英。当地で英国人女性と結婚後、定住した。ロンドン市内の出版社勤務を経て、98年から再びフリーランスに。01年、FW西澤明訓のボルトン加入をきっかけに報知新聞の英国通信員となり、プレミアリーグの取材を本格的に開始。英国人の視点を意識しながら、“サッカーの母国”イングランドの現状や魅力を日本に伝えている。