岡崎慎司、日本代表への尽きない情熱 レスターの”1トップ”で示した稀有な才能
英国在住記者も驚いたブライトン戦での1トップ先発起用
11月24日、プレミアリーグ第13節のブライトン対レスターの試合会場を訪れ、先発イレブンが印刷されたチームシートを受け取った時、一瞬我が目を疑った。岡崎慎司が先発だったのだ。
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今季リーグ戦では初先発だったが、それだけならさほど驚くことではない。なぜなら前日に英公共放送「BBC」電子版が、「ジェイミー・ヴァーディは故障明けで出場が微妙」と報じていたからだ。
驚きだったのは、このチームシートに記載されたメンバーから、フォーメーションはまず間違いなく4-2-3-1、そこに純粋なストライカーが岡崎しかいなかったことだ。ベンチには昨季マンチェスター・シティから移籍し、今季ようやくレスターで大器の片鱗を見せ始めたナイジェリア代表FWケレチ・イヘアナチョと、怪我明けながらヴァーディもいた。この二人を差し置いて、岡崎がまさかの1トップ。しかもこの1トップは3年4カ月になるレスターでの選手生活で、1.5列目からヴァーディの背中を見つめながら、岡崎が喉から手が出るほど渇望していたポジションである。それが晴天の霹靂とも言っていい形で、突如として実現した。
喜び勇んでスタンドに出て記者席に座った。しかし同時に、なぜこのタイミングで岡崎が突然レスターのファーストチョイスの1トップになるのか、という疑問も湧いた。
今季は岡崎に強力なチーム内ライバルが出現していた。U-21イングランド代表MFジェームズ・マディソンだ。レスターは2000万ポンド(約29億円)もの大枚をはたいて、22歳の技巧派トップ下を獲得していた。
ピュエル監督が、レスターのスタイルを変えようとしているのは明らかだった。それは奇跡のプレミア優勝を果たした獰猛なプレスを起点とするカウンターサッカーから、ボール支配率を高めるポゼッション・サッカーへの転換だった。しかも岡崎は昨季1月に左足首、そして今夏のロシア・ワールドカップ(W杯)ポーランド戦で右足首を負傷し、その両足首の傷が癒えないまま、フランス人知将がチーム変革の意思を明確にしたシーズンに突入していた。
その結果、このブライトン戦までのリーグ戦7試合出場は全て途中出場。しかもその全ての出場が後半30分過ぎからというもので、岡崎がピュエル監督の構想から外れてしまったという印象は拭えなかった。
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森 昌利
もり・まさとし/1962年生まれ、福岡県出身。84年からフリーランスのライターとして活動し93年に渡英。当地で英国人女性と結婚後、定住した。ロンドン市内の出版社勤務を経て、98年から再びフリーランスに。01年、FW西澤明訓のボルトン加入をきっかけに報知新聞の英国通信員となり、プレミアリーグの取材を本格的に開始。英国人の視点を意識しながら、“サッカーの母国”イングランドの現状や魅力を日本に伝えている。