「勝者のオーラが見える」と称えたのは? 日本代表「キルギス戦出場17人」を金田喜稔が評価

日本代表MF原口元気【写真:Getty Images】
日本代表MF原口元気【写真:Getty Images】

守田と三竿のダブルボランチが放った「優勝した自信と雰囲気」

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■伊東純也(柏/→後半14分OUT)=B

 10月のパナマ戦(3-0)でも指摘したが、この試合でも右サイドバックの室屋とのコンビによる打開は、あまり上手いとは言えなかった。ただ、これまで短い時間でも結果を残してきた図抜けたスピードは健在で、この日も多少のポジションのズレがあっても間に合ってしまうというスプリント能力を披露。ターンしてからのシュートシーンでは冷静さがほしかったが、貴重なジョーカーにもなり得るスピードには可能性を感じさせた。

■原口元気(ハノーファー/→後半27分OUT)=B

 途中から出ようが先発から出ようが、“原口スタイル”をブレずに貫けるのは監督としては頼もしい人材だろう。自らのドリブルでFKを獲得し、ゴールを奪った。限りなく「A」評価に近いが、キルギスという相手を考えればもっとシュートやラストパスなど、決定的なプレーを自らの局面打開力や周囲とのコンビネーションで作り出してもらいたかった。

■守田英正(川崎)=B

 守田も限りなく「A」評価に近いパフォーマンスだった。攻守において次のプレーを予測し、いかに素早く反応できるかはボランチに求められる重要なスキルの一つ。的確なポジショニングによって攻撃を滞らせることなく、次に展開したというシーンが、大迫のゴールにつながった後半27分のプレーだった。左サイドで柴崎が山中を狙った縦パスが相手にカットされ、ボールが中央のスペースに転がる。そこに守田が素早く反応してワンタッチで前線の北川の足もとにつけて、大迫が決めた。このカバーリングの一歩目の速さは、Jリーグ連覇を達成した川崎で磨かれたもの。大卒ルーキーでまだ伸びしろは十分。キルギス戦でアピールに成功した一人だ。

■三竿健斗(鹿島/→後半14分OUT)=B

 展開力とともに中盤でピンチの芽を的確に摘む高い能力を見せた。今季のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)で鹿島の初優勝に貢献し、MVP候補にもノミネートされている実力を、代表の舞台でもしっかりと披露できた。これは私も現役時代に経験し感じたことだが、今の三竿と守田の二人には間違いなく「勝者のオーラ」がある。リーグ戦やACL、天皇杯といった大会でタイトルを獲り、その流れのなかで代表に合流した時に放たれるものだ。優勝という結果を手にした選手が得た自信や雰囲気というものは、やはりプレーに凄みを生み、選手をワンランク上に押し上げてくれる。だからこそ、一つ注文したいのがミドルシュートの意識。キルギスは前半に2点を失った後、ラインを下げて2ラインで守備を固める時間帯が増えたが、そこでペナルティーエリアの外からミドルシュートを狙う意識をより高めることが、アジアカップでの成功にもつながると思う。

金田喜稔

かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。

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