「モウリーニョ解任」へ運命は動き始めたか マンUとの“最悪な相性”が生む疑念と確執
異様な“12分間スピーチ”から始まった就任3年目への疑念
常勝を義務付けられるマンチェスター・ユナイテッドの監督がどれほどの重圧にさらされるのか、それは決して凡人には計り知れないものだ。しかしそれにしても、最近のジョゼ・モウリーニョ監督の言動がおかしい。
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いつがその始まりだったのか――。顕著に現れたのはやはり、今年3月の“12分間スピーチ”だったと思う。
昨季のUEFAチャンピオンズリーグ(CL)決勝トーナメント1回戦で、スペインのセビージャ相手に2戦合計1-2で敗戦。その直後の定例会見で、これまでの自らの実績とサー・アレックス・ファーガソン監督が2013年夏に退任して以降のユナイテッドの成績を、12分間にわたり延々と説明した。
あの会見は本当に異様だった。あそこにいたのは英国でも知名度の高い優秀な記者団だ。だからこそ、“ユナイテッド番”になっている。もちろん、あの日モウリーニョ監督が語ったデータは彼らの頭の中に全て入っている。にもかかわらず、ポルトガル人の闘将は“まるで誰も俺が何様なのか分かっていない”と訴えるように、彼自身の栄光の歴史を詳細に、懇々と話した。
そして昨季プレミアリーグを2位で終え、ロシア・ワールドカップ(W杯)を挟んでプレシーズンが始まると、まだ調整段階だというのに、モウリーニョ監督の言葉が唐突にヒートアップした。
もちろん、彼らが7月中旬に渡米して参戦したインターナショナル・チャンピオンズカップは、親善試合とはいえ、国内最大のライバルであるリバプールに1-4で大敗するのは気分が悪いだろう。しかし「自分がファンならこんな試合に金を払って観に来ない」「これは私のチームではない。(今日出場した若手は)所詮子供。8月9日の段階では一軍にはいない」「補強したい5人の選手をリストアップして渡している。しかし今の段階ではその中の一人か二人、決まればいい方だ」など、直後の会見で不満を爆発させてしまった。すると当然のように、うるさ型の英国メディアが騒然となった。
森 昌利
もり・まさとし/1962年生まれ、福岡県出身。84年からフリーランスのライターとして活動し93年に渡英。当地で英国人女性と結婚後、定住した。ロンドン市内の出版社勤務を経て、98年から再びフリーランスに。01年、FW西澤明訓のボルトン加入をきっかけに報知新聞の英国通信員となり、プレミアリーグの取材を本格的に開始。英国人の視点を意識しながら、“サッカーの母国”イングランドの現状や魅力を日本に伝えている。