レジェンド澤の華麗なラストダンス 「最後のW杯としている」

アメリカFWワンバックとの友情

 決勝の相手はまたしてもアメリカに決まった。11年ドイツ大会決勝、12年ロンドン五輪決勝に続く、同一カード。澤にとっては自身がプレーした経験を持つ国でもあり、日本女子サッカー界のパイオニアが「クイック・サワ」の異名でその名を轟かせた場所でもある。共に戦ってきた仲間や相手がスパイクを脱いでいく中、アメリカのFWワンバックはかつてのチームメートであり、無二の親友でもある。
 澤が「良性発作性頭位めまい症」に苦しんだ2012年、ワンバックはINACのキャンプ地である鹿児島を訪れて激励した。1979年生まれの澤と、80年生まれのワンバック。同世代の2人は、共に自国の代表で歴代最多得点を決め、FIFA世界最優秀選手に輝いた。自国の女子サッカー界を支えてきた戦友でもある。
 決戦に向けて、ワンバックは「澤と戦えることが嬉しい」という言葉を残している。それを受け、澤も「私自身もワンバック選手と対戦できるのは光栄ですし、同じピッチで戦えたら嬉しい」と、ピッチ上での再会を願っている。
 今大会は共にベンチスタートが多い2人だが、その存在感の大きさは計り知れない。ベンチにレジェンドがいることがチームに安心感を与える。トロフィーを懸けた試合終盤の勝負どころで、2人の思いが実現する可能性は高いだろう。
「心も身体もいい状態に整いました。悔いなく全力で、出場するチャンスがあるのであれば、一瞬一瞬を楽しんで頑張りたい」
 準決勝イングランド戦で佐々木則夫監督は1-1ドローで迎えた試合終盤に澤投入を一度決断した。だが、延長戦突入時のジョーカーとして投入を止まった。この決断の末、イングランド代表はアディショナルタイムにオウンゴールを記録。これが澤温存という二重の効果を呼んできた。気温30度を超える灼熱のエドモントンで戦ってきたなでしこだが、澤は体調を整えることができている。

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