ブラジルが開幕戦を制した理由 その戦い方から見えた日本が勝ち抜くヒントとは

ブラジルの強さと本質と日本代表に足りないもの

 

 ブラジルの51.6%に対してクロアチアは48.6%と劇的に改善されているが、これは同時にクロアチアのゲームプランが崩れたことを示すデータでもある。相手に回させて奪って効率よく攻めていたはずが、回させられる状況を作られてしまった。結果、前半見られたキレのいいカウンターは後半すっかり鳴りを潜めた。それはボールを失ったブラジルの選手の切り替えの速さであったり、後方の選手のポジショニングの修正によるものだ。それを示すデータを見てみたい。

 Duelsと言われるデータがある。これはフィフティ・フィフティ、つまり五分五分の状況下でどちらがボールを奪ったかを示す数値だ。セカンドボールへの対応の多くがこのデータに含まれる。

 前半は33勝24敗(勝率57%)と相手を上回ったブラジルは、後半さらに41勝24敗(勝率63%)と向上させている。ブラジルは昨年のコンフェデレーションズカップで優勝した時もこのデータが非常に高く、奪ったボールをつなぐスキルや失ったボールをつながせない守備力が最も優れていたチームだった。

 前半の苦戦を経て自分たちが良かった時のイメージが蘇ってきたのだろう。前半のネイマールの得点、後半終了間際のオスカルの得点ともにシュートの質の高さが称賛されているが、シュートに結び付いた直前のプレーに注目してもらいたい。相手ボールを奪った後の前への速さと推進力がゴールへと直結しており、一連の流れはブラジルの真骨頂ともいえるものだ。

 ブラジルの強さの本質は、相手がこういうことをしてきたからこうしようという戦術の柔軟さと、それをこなすタレントの豊富さにある。それを持ち合わせた上でどんな試合でも、相手が一瞬気を抜く瞬間、「切り替え」のタイミングを見逃さない。

 日本代表の直近3試合の分析をしてきたなかで最大の懸念点は、切替の瞬間、まさにこのセカンドボールの対応だった。開幕戦を見て感じた通り、ワールドカップは国の威信をかけて戦うガチの真剣勝負の場だ。セットされた状況の打破は決して簡単ではない。一瞬のスキが生まれる瞬間を決して逃がさない。それがこの開幕戦でブラジルが日本代表に対して示してくれたヒントに違いない。

analyzed by ZONE World Cup Analyzing Team

データ提供元:opta

【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

※ワールドカップ期間中、サッカーマガジンゾーンウェブが記事内で扱うシーンやデータの一部はFIFAワールドカップ?公式動画配信サイト&アプリ『LEGENDS STADIUM』で確認できます。
詳しくは、「LEGENDS STADIUM 2014 – FIFAワールドカップ公式動画」まで

 

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